赤外線調査

赤外線による外壁調査のメリットとデメリットを解説!

投稿日:2021年2月9日 更新日:

東京・足立区を拠点に日本全国対応にて本物のドローンソリューションサービスを提供しているドローンフロンティアです。
弊社ではドローンを活用した赤外線外壁点検調査を実施しております。

近年、マンション・ビルの外壁タイルの剥落事故が増えており、外壁調査が義務化されました。

外壁タイルの剥落事故

外壁調査のみならず建物のメンテナンス不足による死亡事故が相次いだため、平成20年に行われた建築基準法の改正で定期点検が義務化され、検査基準が厳格に定められました。

建物のメンテナンス不足により発生した死亡事故

平成18年 エレベーターによる死亡事故(東京都)
平成19年エレベーター機械室の発煙事故(東京都)
平成19年ジェットコースター死亡事故(大阪府)
平成19年広告看板落下による負傷事故(東京都)

12条点検と呼ばれる建物の定期報告制度が定められたのです。

12条点検とは

「12条点検(定期報告制度)」は、国が定めた建築基準法第12条に基づいて行われるものです。12条点検は、政令や特定行政庁が定める特定建築物の所有者・管理者に義務付けられています。定期的に、一級建築士など決められた資格を持つ人が建築物や建築設備の調査を行い、その調査や検査の結果を所管の特定行政庁に報告しなければなりません。

12条点検が義務付けられている特定建築物とは、おもにデパートやホテル、病院といった不特定多数の人が利用する施設になります。
こうした施設は、構造自体が老朽化したり、避難設備に不備があったりした場合、大きな事故や災害につながりかねません。
そのため、法令によって事故や災害を未然に防ぐ目的で、専門の資格を有する調査員が建築物を定期的に調査、検査を行い、所管の特定行政庁に報告するよう義務付けられています。

12条点検について詳しくはこちら

マンション・ビルの外壁にはどのような劣化が発生する?

タイルが剥落することによる事故はもちろん避けなければいけませんが、タイルはいきなり剥離するわけではなく、その予兆が色々な形で現れるのです。
外壁にどのような不具合が見られるのかまとめてみました。

外壁タイルの劣化一覧

外壁タイルのひび割れ(クラック)

 

 

 

 

 

外壁タイルの欠け

 

 

 

 

 

外壁タイルの浮き(はらみ)

 

 

 

 

 

エフロレッセンス

 

 

 

 

 

目地劣化

 

 

 

 

 

外壁の劣化一覧

外壁のひび割れ(クラック)

 

 

 

 

 

外壁の爆裂

 

 

 

 

これらは外壁の劣化のごく一部です。
建物の寿命の観点からも外壁の劣化は避けたいところですが、一番は外壁タイルの剥落を防ぐために外壁調査・定期メンテナンスは欠かせません。
ビルやマンションの外壁調査には一般的には「打診調査」が用いられていますが、ここ数年ニーズを伸ばし続けているのが外壁の温度差異を計測する「赤外線調査」です。

赤外線による外壁調査の流れ

ドローンを用いた赤外線調査の流れは大まかに説明すると
1、対象となる建物に向けドローンを飛ばす
2、写真を撮る
3、撮った画像を解析する
の順序になります。

赤外線調査と呼ぶものの、厳密に言えばドローンが撮影する写真(画像)は「可視画像」と「赤外線画像」の2種類があります。

可視画像とは、普通のカメラを用いて撮影される画像のことを指します。
外壁に近い位置でドローンを飛行させることによって「外壁タイル、塗装のひび割れ」や「シーリングの劣化」などを確認することができます。

一方、赤外線画像とは「温度を可視化させた画像」のこと。
テレビなどで見かける「サーモグラフィー映像」を想像していただくと分かりやすいかもしれません。
温度を可視化させる理由は、外壁で劣化を起こした箇所と健常な箇所には”温度差”が現れるからです。
たとえば、タイルが「浮いている」劣化を起こしている箇所は躯体や下地との間に熱を篭らせる特徴を持っています。逆に、雨漏りと思われる現象の発生箇所は外壁の表面温度が低いことが確認できます。
ポイントはこの2種類の写真は全てペアになっていると言うこと。
つまり、可視画像が数千枚あれば同じ数だけ赤外線画像も撮影されるのです。
建物の規模にもよりますが、多くて1万枚〜に及ぶ画像を”ふるい”にかけてチェックする必要があります。

正確な赤外線調査に必要なキャリブレーション

タイルの浮きが赤外線画像にどのように写るかは環境によって差があります。そのため弊社では調査開始前に、打診によって浮きが確認できた箇所を赤外線でサンプル撮影し、どのように写るかを確認することで、赤外線解析の基準を最適化しています。この作業はキャリブレーション(校正作業)と呼ばれ、法定点検に赤外線調査を用いる場合には必須の作業となっています。

国土交通省が出している定期報告のガイドラインでもキャリブレーションの必要性について記載があります。

キャリブレーションの様子

まずは、打診調査を行い浮きの怪しい箇所を特定

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤外線カメラで撮影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浮いている箇所の反応をこの日の基準とし、それ以外の手が届かない範囲で赤外線撮影した温度変化を色分けによって示します。

時間による温度変化を把握しておく

赤外線調査の撮影時間による温度変化

 

 

 

 

 

ドローンフロンティアでは、時間ごとによる日照の角度を把握することができます。

この機能によって、何時に日が当たりやすく、壁面の温度が上がるかを想定してから調査時間を決めることができます。

 

このように、時間を分けて複数回数撮影することで、より正確な分析ができる方法となります。

 

さてここから、

赤外線調査の導入に二の足を踏んでいらっしゃる企業様のために、外壁赤外線調査のメリット、デメリットをお伝えします。

赤外線による外壁調査のメリット

■ 足場を組む必要がないためコスト・工期を圧縮できる

赤外線調査は、調査員がアプローチするための足場を組む必要がありません。
その為、調査費用をかなり抑えることができます。
ただ、注意しなければいけないことは赤外線調査は調査面と一定の角度を保つ必要があるということです。
そのため高層階の外壁赤外線調査を地上から行うことはできません。
そこで登場するのがドローンによる赤外線調査です。
ドローンは高層階であっても常に一定の角度、距離を保って撮影することが可能です。
赤外線調査はドローンの普及により一気に広まったといっても過言ではありません。

赤外線による外壁調査のデメリット

■ 解析を誤ると、実態に即さない報告書を提出することになる

赤外線調査において温度差を発生させる原因は劣化だけではありません。
対象となる建物の構造や環境、外壁に用いられているタイルや塗料の材質や色の違いによっても温度変化が生まれるのです。
また建物の内部に張り巡らされている鉄筋や鉄骨の仕組みや、対象の建物の周りに建てられた建築物による「赤外線エネルギーの反射」によっても赤外線カメラの見え方は変わります。
加え、温度差は、同じ状況下の建物であっても撮影をする時期や時間によっても変化します。
赤外線カメラが捉えるのはあくまで「外壁表面から発せられた赤外線のエネルギー」。
赤外線調査は「なぜ温度差が現れるのか」、多角的な要因を全て計算に入れた解析を行わないと、
実際は劣化している訳ではないのに『補修が必要な箇所』として報告書を上げてしまうことになります。

赤外線による外壁調査のデメリット2

■ トラブルのほとんどは「実際発生していた不具合との乖離」にある


建物の劣化を人間にたとえるなら……。
たとえば「お腹が痛い」だけでは、医者は正確に原因を特定することができないでしょう。
具体的にどう痛むのか、腹痛を起こした人が食べたものや、時にはレントゲンなどを用いて診断を進める必要があります。
ドローンを用いた赤外線調査のウィークポイントはまさにここにあります。
手法こそ変わらないものの、「ご依頼される会社の経験と分析力によって結果の精度が大きく左右されてしまう特徴」を持っていることに問題を抱えているのです。
赤外線調査に求められるのはドローン・赤外線への知識だけではありません。建築物そのものへの知識も必要とされます。
その上で写真を撮る前の段階から、持ち帰った後、正確な解析を行う能力や知見がなくては調査と呼ぶことはできません。
事実、赤外線調査で起こりやすいトラブルは 「実際発生していた不具合との乖離」です。
健全な箇所に不具合を見出すこともあれば、その逆も然り。
たとえば「金属」や「光沢度の高い外壁材」をメインに作られた建物は赤外線調査には不向き。と、言うよりまともな調査を行うことができません。
しかし、それでも、請け負ってしまう会社が現実には存在します。
赤外線調査に不向きな建物を『調査できます!』と言ってしまうくらいですから、もちろんレポートだって、頓珍漢なモノができ上がります。

赤外線による外壁調査のデメリット3

■ お客様が考えられる”当たり前”を蔑ろにする会社も多い

弊社の強みは「赤外線と建築の知識を適切に身につけた人間が解析を行う」ことにあります。
我々は1物件で数千枚以上となる撮影画像を積み上げて、不具合を実際にレポーティングし、温度差の要因となりうる可能性を全て理論立てて説明できることに自信を持っているのです。
また、不具合の疑いがある箇所に対し原因を完全に理論立てて説明できないことは、診断の後の修繕計画も変わってくることを意味します。
弊社はあくまで調査を行う会社ですが、先述の通り建設の知識も有しています。
修繕に対する的確な方向性の提示を行うことにより、実際に修繕工事が行われるまでのスムーズな流れをお約束することができます。
『それって強み?当たり前のことなんじゃないの?』
と、思われた方も多いと思います。
が……ここまで強調しているのは、お客様が考えられている”当たり前な解析・報告”ができる会社はとても限られるのです。

赤外線による外壁調査のデメリット4

■正確な調査はもちろん、お客様ごとに寄り添った調査をご提案します!


お客様が赤外線調査をご依頼する目的は、定期的な調査の報告と修繕のための積算(どの程度の予算がかかるか算出すること)にあります。
いずれにせよ、極力正確な情報に基づく的確な報告書類が出来上がっていなければ、ご依頼は無駄に終わってしまうことでしょう。

こちらは弊社の調査報告書の抜粋です。
外壁調査に精通したパイロットが撮影、社内で分析しているため正確かつ詳細な報告書をお送りします。

また弊社はお客様ごとのお悩みに寄り添える自信も持っています。
『どこを優先的に診るべきか、修繕の順番はどうすればよいか。』
目的は一緒であっても、お客様や建物によってご依頼の事情は様々です。
あくまで弊社は建築の”専門”ではないため、助言にとどまってしまいますが……建築の知識と調査会社としての経験をフルに活かし、お客様が求められている以上の情報を提供できることに好評いただいております。
外壁の赤外線調査にお悩みをお持ちでしたら、一緒に解決をしていきましょう。
赤外線調査のプロとしての目線と、お客様の目線。
2つの視点から正確な方向性を導き出す調査をお約束いたします!

ドローンによる赤外線外壁調査の費用

弊社が行うドローンの赤外線外壁調査費用は、390円/㎡です。
1000㎡の場合39万円になりますが、足場を組んでの打診調査を行うと約100万円掛かりますから60%強のコストカットができる計算になります。

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