赤外線調査

外壁のタイル調査にドローンが最もオススメな理由

投稿日:2021年7月6日 更新日:

東京・足立区を拠点に、日本全国対応で本物のドローンソリューションサービスを提供しているドローンフロンティアです。
弊社ではドローンを活用して、建築基準法に則った赤外線外壁点検調査も実施しております。

特定の建築物には、建築基準法に定められた定期の法令点検による報告が義務付けられています。
これはマンションや商業ビルなど、建築物の安全性を保つために、定期的なスパンで行われる点検で、建築基準法第12条に定められているため「12条点検」とも呼ばれています。

近年では、外壁における12条点検でドローンによる赤外線調査が普及しています。
この記事では、外壁のタイル調査にドローンがどのように使われるのかと、最もオススメな理由についてお伝えします。

外壁タイル点検の定期報告がなぜ必要なのか

12条点検は、建築物の安全性を保つ目的で制度化されたもので、国が建築物の用途別に面積、階数によって期間や点検範囲などが指定されています。

例として、エレベーターや消火設備などに異常がないか、利用者に危害が加わらないかといったことを定期的に点検することが定められています。
点検調査を行い、その結果を自治体などへ報告を行います。
なお、管轄は国土交通省や特定行政庁となりますが、どこに報告書を提出するかは各都道府県によって異なります。

外壁に関しては、おもにタイル貼りについての点検となります。
まれにモルタル仕上げのビルなどもありますが、新しいビルに関しては、ほぼタイル貼りとなっています。
外壁のタイルは、経年劣化などにより接着力が弱くなります。

タイルは意外と重いものです。
ビルの高層階から劣化によって落下すると、下を歩いている人に直撃したら大きな問題になります。
過去には、なんと数百枚ものタイルが落下したケースもあり、非常に危険です。
こうした事故を未然に防ぐ目的で、12条点検の外壁タイル調査が行われています。

どのように外壁タイルは劣化する?

外壁タイルの12条点検時期は「建築物が竣工してから、もしくは改修後10年」「手の届く範囲での打診、または目視調査で異常が認められたとき」と定められています。
上記のタイミングで大規模修繕が行われれば、通常はさらに10年スパンで12条点検を行うことになります。
建築設備の種類、点検や修繕が実施可能な時期によって点検のスパンは変わりますが、基本的には長くとも10~12年のスパンで必ず外壁タイルの12条点検が行われるといっていいでしょう。

それでは、外壁のタイルはどのように劣化するのでしょうか。
外壁タイルが劣化する理由は大きく分けて、以下の2種類になります。

・経年劣化
・施工不良

特に経年劣化に関しては、外壁のタイルは全体の面積に対して年0.5%ずつ劣化するといわれています。
つまり、10~12年では5~6%の劣化が発生する計算になります。
なお、施工不良に関しては、本来は起こってはならない施工上の問題で、おもにコストダウンなどの影響で接着に問題があるなどの劣化が原因となります。

ただ、外壁のタイルに関しては接着状態がよいからといって、必ず上記の数値で劣化が進むというわけではありません。
たとえば、どこからか水が入ってきたらタイルが剥がれる要因にもなるため、一概に外壁の劣化だけが原因というわけではありません。

また、外壁タイルの劣化には接着の剥がれ以外にも、物理的な要因(地震など)や、自然に重力で力が掛かる場所のひび割れなどもあります。

さらに、紫外線による外壁タイルの劣化もあります。
一般に日当たりがよい壁面は、紫外線による経年劣化が早いといわれています。
ただ、北側など極端に日当たりが悪い壁面は、水分が滞留しやすくなるため、やはり経年劣化が早いことがあります。

タイル調査の手法別に特徴、メリット、デメリットを解説

12条点検における外壁タイル調査の方法は、現在のところ以下の4種類があります。

1.目視調査
2.打診調査
3.地上からの赤外線調査
4.ドローンによる赤外線調査

それでは、それぞれのタイル調査の手法について、特徴やメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

1.目視調査

「目視調査」とは、その名の通り、人の目で見て確認する調査手法です。

ビルの外壁タイルを表面から見て、ヒビ割れやシーリングの劣化状態などを確認します。
検査する人の経験によるところが大きく、熟練の設計士になると双眼鏡を使ってビルの5、6階まで目視調査画できます。

足場などを組む必要がないため、コストを安くできるというメリットがあります。
一方、デメリットとしては打診しないとわからない、潜在的なタイルの浮きなどは目視では発見できないという点になります。

2.打診調査

「打診調査」は、打診棒で外壁タイルを叩いたり、転がしたりして、音の違いで不具合を見る調査手法です。

タイルの浮きを判別する一般的な手法で、目視調査では判別できない浮きが判断できるため、より精度が増すというメリットがあります。

ただし、すべての壁面を網羅するためには足場を組む必要があり、調査目的で行うにはコストや工期がかかりすぎるデメリットがあります。
また、この打診調査は、職人の経験に左右される部分が大きいのもデメリットになります。
音のわずかな違いで、どこまでタイルの浮きを見つけられるかは、職人の経験とスキルによって異なるため、不具合を完全にすべて発見するのは難しいといえます。

3.地上からの赤外線調査

「赤外線調査」のうち、地上から赤外線カメラで外壁を撮影し、タイルなどの浮きを確認する調査手法です。

こちらも目視調査と同様に、足場を組む必要がないため、コストを抑えることができるメリットがあります。
目視調査では判別できない潜在的なタイルの浮きなども、赤外線によって確認することができます。

ただ、赤外線カメラの特性として、被写体である壁面に対して角度(45度以上)がつくと、精度が下がってしまうのがデメリットになります。
これは、角度が変わることで温度の見え方が変わってしまうため、ビルの5階くらいまでが限界といわれています。

赤外線調査は壁面の温度変化で不具合を判別するため、温度変化がない気候条件では不具合を発見しづらいというデメリットがあります。
できれば日光が当たっている状況が望ましく、日陰でも晴天であれば温度差を取ることは可能です。
雨の日は赤外調査はできません。

4.ドローンによる赤外線調査

ドローンを利用した「赤外線調査」の調査手法です。

赤外線カメラを搭載したドローンを飛ばして、可視画像と赤外線画像を撮影し、外壁タイルの不具合を確認します。
外壁に対して常に水平の状態で撮影できるのが特徴で、ここ数年で爆発的に外壁のタイル調査に利用が広がっています。

壁面に対して角度を一定に保ちつつ、赤外線調査ができるのが大きなメリットで、地上からの調査よりも高い精度で広範囲に調査できます。

さらに、足場を組む必要がないため、コストと調査時間を抑えることが可能になります。
赤外線調査は、壁面に対して距離が近いほど高い精度が出るため、ドローンによって壁面近くから撮影でき、可視画像にしても赤外線画像にしても、高い精度があるのもメリットです。

デメリットとしては、赤外線カメラの特性である温度変化がない状況ではタイルの浮きを判別できないという点が挙げられます。
また、地上からの調査同様に、雨の日には調査できません。
ただし、タイルの浮きを判別するのは難しいものの、漏水調査であれば曇りの日でも調査可能です。

現在、赤外線による外壁調査はドローンによる撮影が主流となっており、建築基準法第12条の見直しによって赤外線カメラを使用した外壁点検は国、地方自治体から認められています。

打診調査は外壁タイルをテストハンマーや打診棒を用いて叩き、その打撃音から浮きが発生している箇所や程度を把握する手法です。
外壁タイルの点検調査ではスタンダードな手法ですが、高層ビルなどの建築物の場合は足場を組むか、ほかの方法を使用しないと調査ができません。
さらに、打診調査で正確に異常を検知するためには、調査員の現場における経験数やスキルが問われます。

足場を組んでスキルのある調査員に外壁タイルの調査を依頼すると、かなり高額となってしまうのは否めません。

その点、ドローンによる赤外線調査は外壁タイルに直接触れることなく、温度変化を赤外線で可視化して調査する手法なので、タワーマンションといった高所でも難なく、短い時間で調査を完了できます。

ドローンによる赤外線調査のメリット・デメリット

上記の通り、12条点検におけるドローンでの外壁タイル調査は、その建築物が高層であれば、より安全で低価格、スピーディーに調査が完了するメリットがあります。
また、目に見えないタイルの温度変化を正確に検知できるため、より精度の高い不具合の検出が可能となります。

ただ、赤外線調査は温度の違いで異常を探すという特性があるため、まったく日が当たらない壁面や温度変化がない環境下では、外壁の調査は難しいという弱点があります。
外壁タイルの異常を赤外線調査で検知するための条件を理解し、的確にスケジューリングできる調査員でないと、異常を検知できないリスクがあります。

タイル調査の手法別 費用・工期比較

それでは、外壁のタイル調査について、調査手法別の費用、工期の目安についてご紹介します。

なお、今回は例として10階建てマンション(2,000平米)の外壁タイル調査を行う場合の費用と工期となります。
「目視調査」については、打診とセットになることが多く単体で依頼されることは少ないここでは省略します。

・打診調査
費用:平米単価1,000円前後(足場代+打診調査費)=200万円
工期:2週間〜4週間程度(足場を組む時間も含む)

・地上からの赤外線調査
立地条件にもよるが、概ね5を超えてくると不具合検出精度が極端に落ちるため不可

・ドローンによる赤外線調査
費用:平米単価330円=66万円(報告書作成費用も含む)
工期:1〜2日程度(気候条件の予備日も含む)

この程度の規模の外壁タイル調査のケースでは、ドローンによる赤外線調査の費用は打診調査の1/3程度になることが多いです。
なお、打診調査の足場は建物の状況や形状、調査地域によって大きく変わりますので、あくまで参考となります。

また、工期に関しても打診調査の場合、足場を組んで撤去する時間も必要となるため、ドローンによる赤外線調査よりも時間がかかります。
ドローンによる赤外線調査では、先述した温度変化の条件が整った日に行うため、予備日を設けるのが一般的ですが、調査自体は1日で終わるスピーディーさも特徴のひとつです。

12条点検における外壁タイル調査事例:ビジネスホテル

2021年5月半ば、某ビジネスホテル様における12条点検の外壁タイル調査をドローン赤外線調査にて実施いたしました。
12条点検の外壁タイル検査範囲は、全部の外壁において実施しなければならないと思われがちですが、実は「外壁直下の歩行者などに危害が加わるおそれがある」エリアに限られています。

今回の物件は10階建てと高さはそれなりにありましたが、定期報告の義務がある検査範囲は道路に面した2面のみだったため、点検調査費用をかなり抑えることができました。
竣工から11年ですので、初めての定期報告となります。ドローンによる赤外線調査で検知した外壁タイルの異常は想定の範囲内で、調査面の全体にわたって浮きの兆候が見られました。

なお、こちらのビジネスホテルは全国に展開している大手様で、ドローンによる赤外線調査の当日は、依頼元となるメンテナンス会社のご担当者様が同席されました。
今回、初めてドローンを使った外壁の赤外線調査ということで、弊社のWebサイトをご覧いただき、お問い合わせをいただいたとのことでした。
コストを抑えることができ、適切な外壁タイル調査をスピーディーに行うことができたため、ご担当者様からも感謝の言葉をいただきました。

ドローンフロンティアのタイル調査報告書サンプルをご紹介

ドローンフロンティアが行うドローンによる赤外線調査では、どのような調査が行われ、調査報告書には何が記載されているのでしょうか。

ここでは、都内の某マンションで大規模修繕のために行ったドローンによる赤外線調査の報告書の一部(調査結果報告)をサンプルとしてご紹介します。
お客様情報保護のため一部画像及び情報は参考イメージとなり、実際の内容と異なる場合があります。

まずは撮影時の現場の条件についての報告です。
このサンプルでは、天気が快晴で最低気温20℃、最高気温28℃と、ドローンによる赤外線調査を行うには絶好のコンディションであることを示しています。

物件の情報も極力詳細に記載します。調査するのは鉄筋コンクリート造、地上14階建てのマンションで、築年数は1991年で30年が経過している建物ということを示していますが、調査内容に応じて他に必要な情報がある場合には記載を行います。

ドローンフロンティアでは、可視画像と赤外線画像を同時に撮影して不具合を確認しています。
可視画像では、目視調査と同様に外観から不具合を検出します。
この報告書のように、経年劣化によるタイルのひび割れなどは、可視画像で異常が検出されます。

ドローンフロンティアの調査報告書では、不具合のケースごとに結果をご報告しています。
同じ可視画像でタイルの異常を確認した場合でも、上記のひび割れとタイル剥落とは別途ご報告しています。

タイルの不具合だけでなく、シーリングの劣化についても調査します。
シーリングが劣化すると、防水性が低下して雨漏りの原因となるため、見逃せない不具合です。
シーリングの不具合については、充填や打ち替えの処置が必要なシーリングの長さについて報告しています。

防水性が低下する恐れのある非タイル張り部分のひび割れについても調査、報告します。
ひび割れの長さや鉄筋の錆の影響と考えられる錆汁なども、可視画像から目視で確認することができます。

外壁のタイルは接着力の低下によって浮きが起こります。
これを放置すると剥落する危険性があり、早急に対処しなければなりません。

外壁タイルの浮きは、可視画像と赤外線画像の組み合わせで確認します。
明らかに浮きが発生している部分は可視画像で目視でも確認できますが、赤外線調査によって目視で確認できない浮き部分(上の画像で濃い黄色から真っ赤な部分)を検出することができます。

可視画像の目視確認と組み合わせることで、より高い精度で浮きを確認することができます。

ドローンフロンティアの調査報告書では、赤外線調査に適した条件なのかを必ず記載しています。
外壁の素材や日照条件、周辺建造物の影響などを記載するだけでなく、気象条件や使用機材といったものまで記載します。
これにより、外壁のタイル調査の高い精度がドローンによって出ていることがご理解いただけると思います。

今回ご紹介した内容は報告書の基本となる内容のごく一部ですが、お客様がどのような情報を知りたいか、ご要望に応じて構成内容を打ち合わせさせていただいております。

また現状、可視画像、赤外線画像の不具合解析・集計はすべて人の手で1枚ずつ行っていますが、わずかな不具合現象も見逃さない画像解析、報告書作成、作成チェック体制を確立しております

ドローンによる赤外線カメラを活用した12条点検の外壁タイル調査は実績豊富なドローンフロンティアにお任せください

ドローンフロンティアには、総飛行時間1,000時間を超えるパイロットが多数在籍しており、安全面での心配はご無用です。
さらに、赤外線診断の公的資格を取得した専門の担当が自社スタッフにおりますので、外壁タイルの異常を見逃すといったこともありません。

さらに日本全国どこでもドローンの飛行許可を取得できるため、都市部でも問題なくドローンによる赤外線調査を行えます。

12条点検で外壁タイル調査にお困りの方は、ぜひ一度ドローンフロンティアにご相談ください。

 

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