日常生活を安全に、快適に、そして、安心して暮らすにはその基盤となる住まいのメンテナンスが重要です。住まいが一戸建ての場合には所有者ご自身の土地・建物だけとなる維持管理ですが、マンションの場合にはご自身が所有されている区分だけでなく、外壁や屋上、廊下、階段、エントランス、エレベーター、消防設備、駐車場などの共有部分においても、定期的な清掃や点検、不具合がでたときの修繕などを行っていく必要があります。維持管理を行う部分が多く、中でも外壁は住まう人たちだけでなく、近隣周辺に住まわれている方々や周辺を歩行される方々の安全性といった側面から、法定点検は重要です。点検を依頼する際は確かな技術や経験、ノウハウを持つ業者を選びましょう。
マンションの維持管理で行われる任意点検・法定点検
マンションの維持管理を行っていく上で実施しなければならないのは任意点検と法定点検です。任意点検は法律によって定められていませんが、安全・快適に生活していくために必要とされる点検で、管理組合が自主的に実施するものです。一方の法定点検は関連する法律によって定められている点検であり、定期的に実施し、報告書の提出などが求められます。また被災や不具合の発生に伴って行われる臨時点検もあります。
任意点検でも安全・快適な生活のために
エントランスの自動ドアや不在時の荷物を受け取るための宅配ボックスに加え、セキュリティー対策で設置されている防犯カメラや機械式駐車場が設置されていれば、こういった設備も含めて、生活を便利にする設備が任意点検の対象となります。任意とはいえ、確実にやっておくべきといえるのが自動ドアの点検。これは自動ドアになんらかのトラブルが発生して被害者が出た場合、所有者が安全の確保を怠ったとして、賠償責任を問われる可能性があるからです。機械式駐車場の点検も同様の理由から日常の目視などによる管理、専門業者による定期点検を行いましょう。
また、セキュリティー機器である防犯カメラは犯罪抑止力効果があると考えられています。万が一、事故や事件が発生してしまった場合、証拠を記録できるものですから、故障や不具合が発生しないように日頃から稼働状況を確認しておきましょう。
マンションの法定点検は建築基準法や消防法などに従って
一定規模以上のマンションについては、住民が管理組合などを通じて自主的に行う任意点検に加えて、建築物に関するさまざまな法律に基づき、定期的に実施し、役所に報告する必要がある法定点検を行わなければなりません。例えば、建築基準法で定められているものは、「マンションの敷地・構造の調査」「換気・給排水といった設備の検査」「エレベーターの定期検査」、消防法で定められているのは「消防設備の点検」です。貯水タンクを設置したマンションの場合には水道法で「水質検査」「水槽の清掃」を行わなければなりません。こうした各法に基づく調査・点検の結果は行政庁または関係機関に報告することが義務付けられています。
この法定点検に基づき定期的に報告を実施するという制度は建物や敷地内の維持管理が適切に実施されなかったことによって発生する事故や災害を防ぐためのもの。安全に、安心して住まうためにはいずれの点検も怠ることはできません。
12条点検とは
法定点検の中には「建築基準法第12条」、いわゆる「12条点検」に基づく点検があります。所管する特定行政庁や建築物の用途などによって、12条点検が義務となる建築物は変わります。
マンションが12条の法定点検義務対象となる特定行政庁も
特定行政庁によっては、その敷地面積や階数などによってマンションが12条点検義務の対象となる場合があります。東京もそうした都道府県・市町村の一つ。マンションのほか、劇場、映画館、演芸場、旅館、ホテル、百貨店やスーパーマーケット、下宿、寄宿舎などを対象としています。
東京都のマンションは12条で敷地を含む建築物、昇降機、建築設備、防火設備について、損傷・腐食や劣化状況などの点検や外壁の調査が義務付けられています。
東京都が12条法定点検の対象としているマンションの規模や階数、報告時期などについては東京都都市整備局が発行している「定期報告が必要な特定建築物・防火設備・建築設備・昇降機等及び報告時期一覧」に掲載されています。
定期報告が必要な特定建築物・防火設備・建築設備・昇降機等及び報告時期一覧
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/chousa-houkoku/pdf/ch_2_01.pdf
マンションが対象となった場合、外壁の点検が必要
マンションが12条の法定点検対象となった場合、その外壁調査に関して、2008年に出された「平成20年国土交通省告示第282号」で、外装仕上げ材などにおけるタイル、乾式工法によるものを除く石貼り、モルタルなどの劣化や損傷の状況の調査では、おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診などに加えて、おおむね10 年に一度、落下により歩行者などに危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診調査などを行うこと、となっています。
12条のマンション外壁調査、法定点検はドローンも可能
これまで、この12条に基づくマンションの外壁に対して行う法定点検で10年に一度の全面的な打診は、これまで足場を組んで行う必要などもあったことからコストと時間がかかるものでした。しかし、2022年1月18日付けで「平成20年国土交通省告示第282号」は一部改正が行われており、打診以外の調査方法として、ドローンによる赤外線調査がテストハンマーによる打診と同等以上の精度があるものとして明確化されています。
マンションの法定点検はドローンで!
法定点検で義務となっているマンション外壁の調査は赤外線装置を搭載したドローンでも行えます。全面調査の場合、これまでは高所作業となるため、足場を組み、打診を行ってきたのですが、ドローンによる赤外線調査は足場を組む必要がないため、調査期間の短縮、調査に関わる作業者の削減が可能となり、調査費用も低価格化が進んでいます。ドローンによる法定点検を依頼する事業者を選ぶ際の注意点などを考えていきます。
ドローンによる赤外線外壁調査、事業選定のポイントは二つ
ドローンを使用した赤外線外壁調査を実施している業者を選定するポイントはさまざまですが、大きくはこの二つのポイントを見ていただくとよいでしょう。
- ドローンの知識・赤外線の知識・建築の知識をそれぞれ持ち合わせていること
- 物件ごとに適切な外壁調査の手段を提案してくれること
では具体的に見ていきましょう。
ドローン、赤外線調査、建築、すべての知識・知見を持つ業者を
まず法令を遵守して物件に対して安全にドローンを飛行させる知識、ドローンの飛行特性などはもちろん重要です。しかし、外壁の調査ですから、赤外線外壁調査を行う装置の性能や特性、操作方法、さらには調査対象となるのは建築物ですから、建築に関する知見など、いずれが欠けても、正確な調査データを得ることはできません。安全性を追求するための点検ですから、いずれの知識もしっかり持ち合わせ、ノウハウや実績を持っている業者を選定することが大切です。
ドローン以外のオプション調査も選択できる業者に
ドローンも万能ではありません。打診による点検も万能ではありません。例えばドローンの場合、太陽の光が当たりにくい北側の外壁面や、ドローンを飛行させるスペースが確保できない外壁面のマンション外壁調査は困難です。一方、打診調査も足場を組むための時間や作業員の人件費がかかり、診断する作業員の熟練度に頼るところが大きいため、こちらも万能とはいえません。
そのため、ドローン調査が困難な場所がある、というような場合にはロープアクセスやゴンドラによる打診調査などのオプションを提案できる業者を選定することが大切になってきます。
マンションの法定点検、ご相談はドローンフロンティアへ
私どもドローンフロンティアには総飛行時間1,000時間以上のパイロットが所属しているだけでなく、全国でドローンの飛行許可を取得しており、ドローン飛行禁止区域が多い都心部の住宅でもドローンでマンションの点検を行うことができます。また、赤外線建物診断技能師の資格保有者が行いますので、調査結果もご満足いただけると思います。建設業界やロープアクセス調査会社とも密接に連携しており、打診調査を組み合わせることが可能です。マンションの法定点検については私どもドローンフロンティアにご相談ください。(3,350文字)