マンションや建物の外観を美しく彩るだけでなく、周辺の景観も左右するのが外壁に貼り付けられたタイルです。外壁に貼られるタイルにはさまざまな種類があり、また貼り付ける工法にも乾式と湿式という2種類があります。外壁タイルはその施工法によって寿命が異なってくるため、それに伴ってメンテナンスの期間も異なってきます。施工方法に合わせたメンテナンススケジュールで外壁タイルを美しく、そして安全に保つことができます。
外壁に利用されるタイルはさまざま
タイルは土や砂、粘土などを高温で焼き固めた建築材料です。外壁、内壁、床など、建物のさまざまな場所で利用されていますが、利用される場所によって、最適な品質となるよう、タイルを製造する際の原材料を調合する割合は異なっています。
吸水率によるタイルの分類
これまでタイルの分類は磁器質、せっ器質、陶器質というように分けられていましたが、2014年からJIS(日本産業規格)A5209による吸水率と成形方法によるものになっています。
吸水率3%以下がI類、10%以下がII類、50%以下がIII類となっています。吸水率が高いものはタイル内の水分が凍結すると体積が膨張してしまい、破損する可能性があるため、屋外での利用は不向き。外壁で利用するのであれば、I類のように吸水率が低いものとなります。また10%以下のII類も外壁で利用されることが少なくありません。III類は吸水率が高く、強度もI類、II類よりも落ちるため、内装に利用されています。
成形方法によるタイルの分類
成形方法からの分類では乾式成形と湿式成形に分けられています。乾式は高圧プレス加工機を利用してパウダー状の原料を成形したもの。乾燥から焼成の時間が短く、寸法精度が高いという特徴があります。これに対して湿式は機械で練り合わせ、押し出し成形したものとなります。含有水分が高いため、焼成を行うと収縮や歪みが生じやすいという特徴があります。
JISA5209規格では湿式成形で吸水率が3%以下はAI類、10%以下がAII類、50%以下がAIII類、乾式成形で吸水率が3%以下はBI類、10%以下がBII類、50%以下がBIII類となります。
外壁タイルの施工方法も乾式と湿式に
外壁タイルの施工方法は乾式工法と湿式工法に分けられます。1枚1枚を手作業で貼り付けていく湿式は風合いが出やすいことが魅力となっていますが、作業が天候に左右されること、養生の期間が必要となります。一方、乾式は接着剤の技術力が向上してきたことによって、現在主流になってきている施行方法です。
施工不良や剥落事故の心配が少ない乾式工法
乾式工法は外壁タイルを下地に接着剤で貼り付ける接着貼り工法と、下地となる専用のパネルや合板にタイルを引っ掛け、接着剤で貼り付けて組み付ける引っ掛け工法で施工されます。乾式工法は外壁タイルの剥脱、落下事故をなくすために生み出された施工方法であり、養生させる必要がないため、工期が短く済むほか、工事も簡単で、施工不良による剥落の発生、事故の心配は少ない施工方法だといえます。
しかし、接着剤の使用量の規定通りにしなかったり、あるいは接着剤を使う位置が不適切であったりした場合、経年劣化で剥落の恐れがあります。あるいは下地に利用している専用パネルや合板に経年劣化が発生してしまうこともあります。
仕上がり風合いの出る湿式は劣化に注意が必要
湿式工法はモルタルの下地を施行した上に外壁タイルを貼り付けていく工法です。一般的なのが外壁タイルにモルタルを載せて、壁の下から上に向かって、押しつけながら貼り付けていく工法や下地となるモルタル面に貼り付け用のモルタルを塗って、固まる前にタイルを圧着していく工法などがあります。
湿式工法は1枚1枚、タイルを貼り付けていくため、施工する職人の腕によって仕上がりに差がでてしまいます。また、下地となるコンクリートやモルタルの処理をしっかりと行っていない場合、タイルの浮きや剥落の要因となってしまいます。
外壁タイル自体の経年変化は少ないものの、湿式の場合には施工に利用するモルタルは気温差による膨張や収縮、吸水などの影響を受け、劣化が進みます。これは避けて通ることができません。モルタルの耐用年数、およそ10年を目安にメンテナンスを行う必要があります。
外壁タイル、湿式工法は定期報告制度の対象
外壁タイルの施工が湿式工法で行われている場合、建築基準法第12条によって6ヶ月から3年以内に1度、実施の義務がある「目視及び部分打診調査」と、10年ごとに実施が義務付けられている「全面打診等調査」、そして結果報告が求められています。報告を怠った場合は法令違反となり、建築基準法101条で、100万円以下の罰金が課せられる場合があるので注意が必要です。
全面打診等検査はドローンによる赤外線調査でも可能
「目視及び部分打診調査」は全体の目視に加え、手の届く範囲で専用のハンマーによる打診などを行わなければなりません。また、「全面打診等調査」は外壁タイルが剥落した場合、歩行者などに危害を与えてしまう恐れのある壁面を全面、打診、あるいは赤外線検査装置を搭載したドローンによる調査で診断するというものです。
ドローンを使った赤外線による外壁タイル調査は打診と同等かそれ以上という評価が2022年に改正された建築基準法に関連する国土交通省告示第282号において外壁診断方法が定められました。告示には「テストハンマー等による全面打診」との記載がありますが、国土交通省住宅局建築指導課監修による「特定建築物定期調査業務基準」にはこの全面打診等の調査手法として赤外線カメラによる診断が認められています。
ドローンを使った赤外線による調査の場合、足場を組んで行う打診調査よりもコストを削減できるだけでなく、調査期間を短縮することも可能です。
調査対象外の乾式工法による外壁タイルも定期的な点検を
乾式によって施行された外壁タイルは定期報告制度の対象外となっています。しかし、自然災害の影響でひび割れなど、タイルが破損している場合はありますし、外壁タイルを貼り付けているボードや合板、サイディングが劣化していないとも限りません。そのため、乾式工法の外壁タイルであっても、定期的に点検を行うことで建物の安全を維持することができます。
乾式工法で施行された外壁タイルの点検では高ズーム可視カメラを利用して、外壁の状態を確認、撮影することが可能です。私どもドローンフロンティアのドローンには最大200倍ズームが可能な高性能可視カメラを搭載しており、乾式の外壁タイルでも赤外線による点検と同様の高品質の点検サービスを提供することが可能となっています。
乾式工法の外壁タイルでも劣化で発生する剥脱で落下する可能性はあります。そのため、任意となりますが、定期的な外壁の点検をお勧めいたします。
外壁タイルの点検に関するご相談はドローンフロンティアへ
マンションなどの建物の外壁タイル施工方法には湿式と乾式があり、湿式で施工されている場合には定期検査報告が義務となっています。6ヶ月から3年以内の検査と報告を忘れないよう実施してください。また乾式で施工されている場合には、定期検査報告は対象外となりますが、安全性を確認する上で一定期間ごとの点検をお勧めします。
私どもドローンフロンティアは、全国でドローンの飛行許可を取得しているため、ドローン飛行禁止区域が多い都心部の建築物でもドローンで外壁点検を行うことが可能です。定期点検報告のための外壁調査を効率的に、コストダウンを図って実施したい、点検対象ではないが、安全性を維持するために外壁調査を実施したい、そういった建築物の所有者様、管理者様のニーズに応えられるのが、ドローンによる赤外線調査です。ドローンによる定期報告点検、外壁調査については私どもドローンフロンティアにご相談ください。