ドローンは建設業のみならず産業界、物流業界などさまざまな業界・場所・場面で欠かせないものになってきています。測量、工程・施工管理から点検・調査など、ドローンの利活用で作業・業務の効率化や高精度化が進んでいます。また、安全性向上、人材不足など企業が直面する問題や課題もドローンの導入で解消できる場合があります。ドローンの導入、利活用に際しては補助金や助成金の利用で、コストを下げることが可能です。
ドローン導入は補助金、助成金で

測量や検査、点検など、さまざまな場面で利用されるドローンは高性能であり、その導入には当然のことながらコストがかかります。また、ドローンを利用する業務を内製化する場合、ドローンの調達だけでなく、ドローン導入後も定期的なメンテナンスや点検が必要となるほか、パイロットの育成にもコストが発生します。
そのため、ドローンの導入で人手不足の解消による業務効率の向上、事業の拡大につながるとは理解していてもハードルがあると感じている中小規模の建設業事業者の方々は少なくありません。しかし、みなさんがドローン導入を行う場合には国や地方自治体の補助金や助成金を活用することができます。
事業再構築補助金は第13回の公募申請始まる!
事業再構築補助金は経済産業省が提供する補助金です。新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が、新分野展開や業態転換、事業・業種転換などの取り組みを通じて、事業を再構築することを支援する制度です。13回の公募申請が待たれていましたが、2025年1月10日から公募が開始されました。事業再構築補助金は今回の13回が最後となります。申請期間は2月7日(金)18:00 から3月26日(水)18:00まで。採択事業の発表は2025年6月下旬から7月上旬頃の予定となっています。
事業再構築補助金の申請枠と類型
第13回の事業再構築補助金はポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者が取り組む事業再構築を支援する「成長分野進出枠(通常類型)」、ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略の実行計画14 分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者の事業再構築を支援する「成長分野進出枠(GX 進出類型)」、コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援する「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」の2枠3類型となります。
事業再構築補助金、対象となるのは?
事業再構築補助金の対象となるのは日本国内に本社を有する中小企業者および中堅企業などで、製造業、建設業、運輸業の場合、資本金3億円、常勤従業員が300人以下。サービス業はソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除いた企業の場合、資本金5,000万円、従業員が100人以下、ソフトウェア業または情報処理サービス業が資本金3億円、常勤従業員が300人以下となっています。
補助金額は?
補助金額は枠、類型、従業員数などによって異なります。
[成長分野進出枠(通常類型)]
中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数20人以下】100万円~1,500万円(2,000万円)
【従業員数21~50人】100万円~3,000万円(4,000万円)
【従業員数51~100人】100万円~4,000万円(5,000万円)
【従業員数101人以上】100万円~6,000万円(7,000万円)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
[成長分野進出枠(GX進出類型)]
中小企業者等【従業員数20人以下】100万円~3,000万円(4,000万円)
【従業員数21~50人】100万円~5,000万円(6,000万円)
【従業員数51~100人】100万円~7,000万円(8,000万円)
【従業員数101人以上】100万円~8,000万円(1億円)
中堅企業等 100万円~1億円(1.5億円)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
[コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)]
中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
補助率は?
補助率は枠、類型、中小企業か中堅企業なのかなどによって異なります。
[成長分野進出枠(通常類型)]
中小企業者等 1/2(2/3)
中堅企業等 1/3(1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
[成長分野進出枠(GX進出類型)]
中小企業者等 1/2(2/3)
中堅企業等 1/3(1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
[コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)]
中小企業者等 3/4(2/3)
中堅企業等 2/3(1/2)
※()内はコロナで抱えた債務の借り換えを行っていない者の場合
事業再構築補助金では12条点検の調査業務で給付された事例あり

事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が、新分野展開や業態転換、事業・業種転換などの取り組みを通じて、事業を再構築することを支援する制度です。こちらも今年の募集は締め切られています。
この補助金の対象となるのは日本国内に本社を有する中小企業者および中堅企業などで、建設業の場合、資本金3億円、常勤従業員が300人以下。補助金額は、申請する枠や企業規模によって異なりましたが、通常枠の場合、中小企業は補助率が3分の2で100万円から8,000万円、中堅企業の場合、補助率が2分の1で100万円から1億円となっています。
これまでに建設業のドローン導入でこの補助金が給付された中には次のような事例がありました。
- 赤外線カメラ搭載したドローンを建築基準法第12条の定期点検や中古物件の調査業務に活用。
- 建設機械レンタル事業とドローン調査事業による事業再構築。
- ドローンを導入して建物点検診断サービスを取り入れ、既存顧客への新規提案。
- ハイスペックドローンとカメラで建物外壁タイルなどの浮きを赤外線カメラで撮影し、解析する赤外線調査。
- ドローンによる太陽光発電システムの発電不良検知、故障原因特定およびパネルの汚れ洗浄のメンテナンスサービス。
- ドローン技術を新たに取り入れ、既存の土木建築技術を生かして空撮測量、赤外線を使った点検業務。
この事業再構築補助金については、ここに紹介したような建設業や製造業が建築物の測量・点検・管理の効率化や、作業者の安全性の向上といった事業展開、業務改善などの用途でドローンの導入を検討する場合、申請するチャンスがあるといえるでしょう。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
事業再構築補助金ウエブサイト
ものづくり補助金は2025年も令和6年度補正予算で実施予定

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」は「中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援」する補助金です。中小企業庁は2024年12月、国会で補正予算が成立することを前提に、事業概要を公表しました。
製品・サービス開発の取り組みを支援する「製品・サービス高付加価値化枠」、海外需要開拓等の取り組みを支援する「グローバル枠」の2枠の応募が可能です。補助上限額は最大4,000万円、補助率は2分の1から3分の2となっています。
過去の採択・給付事例には赤外線カメラを使った外壁調査など
これまでにドローン導入で採択され、補助金が給付された中には次のような事例がありました。
- レーザーシステム搭載ドローンによる高精度測量の実施と作業効率化
- ドローンと赤外線カメラによる大~小規模建物の外壁診断サービス開発
- ドローンを活用した非破壊の建物高所箇所診断サービス
- ドローンによる安全性・生産性を高める設備保全点検の革新的サービスの実現
- 遠赤外線カメラ搭載ドローンと独自診断ノウハウを活用した建物外壁診断方式の確立
- ドローンを用いた、3D測量技術を応用したインフラ構造物への対応技術サービス
ここに紹介したように建築物の測量・点検・管理の効率化や、作業者の安全性の向上といった事業展開、業務改善などの用途でドローンの導入を検討する場合、ものづくり補助金の申請が通り、採択されば、初期コストを抑えることができます。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_mono.pdf
中小企業庁「令和6年度補正予算 ものづくり補助金」案内
ものづくり補助金の申請は補助金事務局窓口の公募が1月14日まで行われていました。確定次第、開始となるようです。また、事務局公募では事業実施期間が令和9年3月31日までとなっていたため、今後2年間、この補助金を受けられる機会があります。
中小企業省力化投資補助金は一般型で
「中小企業省力化投資補助金」は中小企業の人手不足を解消し、生産性向上と売上拡大を図ることを目的としています。企業の付加価値向上や賃上げの実現を目指し、IoT・ロボットなどの省力化技術を活用した汎用製品の導入費用を補助するという制度です。従来の制度では用意されたカタログの中から製品を選んで導入する「カタログ注文型」という方式でした。これに加えて、1月30日、公募要領が公開されたのが「一般型」です。令和6年度補正予算に伴い、スタートします。
「中小企業省力化投資補助金 一般型」は中小企業や中堅企業などにおいて、それぞれの現場や事業内容に合わせて、省力化を実現するための設備やシステムを導入する際の補助金です。業務プロセスの自動化や効率化、ロボットによる生産の改善、さらにはデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など、幅広い投資が対象です。この方式では、企業ごとのニーズに応じた柔軟な対応が可能で、より専門的で効果的な省力化が期待できます。
中小企業省力化投資補助金 一般型
https://shoryokuka.smrj.go.jp/ippan/
中小企業省力化投資補助金は2025年3月上旬に申請様式公開、3月中旬申請受付開始、3月下旬申請締め切りの予定と発表されています。申請期間が非常に短いため、早急な準備が必要となります。
補助金申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要
なおこのものづくり補助金や事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金の申請には事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。GビズIDは、法人・個人事業主向け共通認証システムであり、GビズIDを取得すると、一つのID・パスワードで、複数の行政サービスにログインすることができます。アカウントは最初に1つ取得するだけで、有効期限、年度更新は必要ありません。いつ募集が行われても良いようにGビズIDプライムアカウントを取得しておいた方がよいでしょう。
GビズID取得ページ
ドローンパイロット育成にも利用可能な補助金や助成金
自社内にドローンパイロットを育成し、ドローンを活用していきたいと考えている事業者のみなさんが利用できる可能性があるのは厚生労働省の助成金「人材開発支援助成金」です。
事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です
出典:厚生労働省 人材開発支援助成金
この助成金はドローンパイロットを育成するスクールの受講費用に利用することができるものです。
人材開発支援助成金(厚生労働省)
lhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
また、愛知県豊橋市では2024年4月から、「無人航空機操縦者資格取得支援補助金」で、市内に事業所がある中小事業者を対象に、従業員がドローン国家資格の取得するに当たって国土交通省登録講習機関の講習を受講した場合、登録講習機関における講習費用の一部を補助する制度をスタートしています。
無人航空機操縦者資格取得支援補助金(豊橋市)
https://www.city.toyohashi.lg.jp/58229.htm
ドローンフロンティアのスクールは補助金・助成金対象になることも

弊社ドローンフロンティアはドローンを利用した建築物の外壁調査や点検事業を行っているほか、ドローンパイロットを育成するドローンスクール、UAS技能教習所(東京校)などを運営しております。このスクールでは屋根点検や赤外線外壁調査などを行えるような技術を学べる「産業技能コース」や初級の国家資格である無人航空機操縦士の資格取得を目指す「国家資格取得コース」などのコースがあり、受講者の方々からご好評をいただいております。
建設業を営んでおられるお客さまから、自社でドローンパイロットを育成したい、弊社のこうしたドローンスクールの各コース受講費用について、補助金や助成金が使えないかと、ご相談をいただくことは少なくありません。弊社で行っているプログラムは国や地方自治体の補助金や助成金が使える可能性が高く、これまでにも事例がございます。補助金や助成金を活用しての受講を検討されているのであれば、弊社窓口にご相談ください。
ドローンフロンティアはドローンのトータルサービスを提供
ドローンフロンティアはドローンを利活用した建築物の調査・点検のほか、スクール事業や導入に向けてのコンサルティングなどを行っています。建設業をはじめとして様々な産業・ビジネス分野におけるドローンの導入に関する助言、ドローン販売、ドローン操縦士の育成、さらにはドローン導入後の継続的なアフターサポートなど、ドローン導入を進める際に直面する課題を解決するトータルサービスを提供しています。
