外壁タイルは他の外壁材よりも経年劣化が少なく、メンテナンスの手間が少なく済むものの、メンテナンスフリーではありません。外壁タイル自体は長持ちする外壁材なのですが、タイルの下地材の劣化を止めることはできないからです。経年劣化で外壁タイルの接着力が低下すると、剥落の恐れがあります。マンションなど特定の建物の外壁タイルは法律で定期的な点検と報告が必要となっており、異常が見られた場合には早急なメンテナンスが必要となります。
外壁タイルは経年劣化を避けることはできません
外壁タイルは1年を通して、雨や風、雪、夏の暑さ、冬の寒さ、そして紫外線と、周辺の厳しい環境にさらされています。そのため、どんなに耐候性のある建材でも経年劣化を避けることはできません。メンテナンスを怠るとさまざまな不具合が発生します。一つひとつ見ていきましょう。
外壁タイルの長期間放置で汚れやカビが発生
タイル表面は比較的汚れに強いのですが、それでも長期間放置すると汚れやカビが着く可能性があります。外観に汚れが目立つ前に定期的に洗浄することで、美観を保つことができます。一番簡単な方法は水で洗い流すことです。
それでも黒カビが発生してしまう可能性があります。黒カビは衛生上、問題があります。そのため黒カビが発生していた場合、洗浄することになります。しかし、水で洗い流しきれないため、プロに洗浄作業を依頼することになります。
外壁タイルの目地にひび割れや剥がれが
外壁タイル同士の間にある隙間を埋めるために使用される部分となる目地は、外壁とタイルの間に風や水分、ホコリが入り込むのを防いでいます。耐久性や防水性が求められるため、目地にはセメント系や樹脂系の材料が使われますが、長期間の紫外線や雨風の影響を受けると、劣化し、目地がひび割れたり、あるいは剥がれたりすることがあります。
その結果、目地から雨水が内部に浸入していき、外壁タイルの接着力が低下してしまいます。冬場の寒冷地では浸入した水が凍結・膨張し、タイルを押し出してしまうこともあります。こうした劣化が最終的にはタイルの剥落につながります。そこで目地にひび割れや剥がれが見られる場合、劣化した目地材の補修が必要になってきます。
外壁タイルを貼り付けるモルタルや接着剤に劣化
外壁タイルを接着するために利用されているモルタルや接着剤にも経年劣化が発生します。外壁タイルは季節や日中の気温の変化にさらされるため、下地材のモルタルなどが膨張・収縮を繰り返します。この繰り返しによって、タイルと接着剤の間に力が加わり、浮きという現象が発生します。
タイルの浮きを放置し続けると、最終的にはタイルが剥落してしまいます。外壁タイルの浮き調査は特定建築物を対象として、建築基準法で定期的な点検と報告が義務付けられています。
しかし、特定建築物に指定されているかどうかに関わらず、定期的な点検は行った方が良いでしょう。点検・調査の結果、外壁タイルに浮きが見られた場合には早急に浮き部分の補修を実施するだけでなく、全体点検の検討をお勧めします。
外壁タイルをメンテナンスしないとどうなる?
外壁タイルの定期点検・調査やメンテナンスを怠ると、外壁タイルの異常発生や経年劣化を見落としてしまい、その結果、外壁タイルの剥落、さらには大きな事故の発生につながることがあります。
外壁タイルが剥落してしまうことに
外壁タイルの目地、貼り付けに利用されるモルタルや接着剤、下地材は経年による劣化だけではなく、地震をはじめとする外的な衝撃を受けたことによっても、劣化が進む恐れがあります。外壁タイルの劣化は剥落につながり、最悪の場合には建物の住民や建物の中で働く人、周辺の歩行者などを巻き込む事故になりかねません。
外壁タイルが剥落し、周辺の器物を破損したり、あるいは住人や歩行者に怪我を負わせてしまったりといった場合、賠償責任は管理者や建物の保有者になることがほとんどです。
安全の確保は言うまでもなく、万が一被るかもしれないリスクを回避するためにも、外壁の定期的な点検とメンテナンスが重要になってきます。
定期的なメンテナンスで施工不良を発見できる場合も
外壁タイルの浮きは経年劣化だけが原因ではありません。施工不良の可能性もあります。マンションのような共同住宅では経年劣化が原因の場合、修繕費用は積立金から捻出することになるのが一般的です。しかし、明らかに施工不良が原因であることを立証すれば、分譲会社や施工会社がその責任を負うことになります。
その一つの目安として利用されるのが点検による浮き率の算出です。外壁タイルの浮き率について、国土交通省は明確な数値を示していないことから、機関ごとに異なります。一般的に用いられるケースが多いのは、建築物の長寿命化に関する事業を行っている公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)が打ち出している浮き率計算による数値。築年数×0.6%の浮きがある場合、重大な過失と判断し、5年で3%、10年で6%を超えると施工に問題があると考えられる、としています。
ドローンによる赤外線による点検・調査でわかること
外壁タイルの点検・調査には目視、打診、赤外線という手法があります。目地のひび割れや剥がれは目視によって可能ですし、手の届く範囲は打診で行うことができます。しかし、高所の場合、目視や打診による点検・調査を行うには足場を組んだり、ゴンドラによる点検となったりするため、大掛かりなものとなってしまいます。そのため、容易に全面的な点検・調査を行うことができません。また、赤外線による点検・調査は、目視では確認できず、打診でも聞き逃してしまうような微細な外壁タイルの浮きを発見できる場合もあります。
ドローンによる赤外線調査は外壁タイルの微細な浮きも可視化
ドローンによる外壁タイルの赤外線調査は、非破壊検査と呼ばれるもので、外壁タイルの劣化や剥離、内部に発生している空隙を検出します。赤外線カメラは外壁タイルの下で起きている、肉眼では見えない問題を可視化します。
赤外線調査の原理は、外壁タイルや建材の表面温度差を利用します。タイルが劣化しているところや剥がれかけている部分では、裏面の接着不良などによって温度変化が異なってきます。赤外線カメラで温度分布を捉えることによって外壁タイルで不具合が発生している場所を特定できます。
劣化や施工不良の早期発見・修繕でメンテナンスコストの低減も可能に
打診や目視による点検・調査は担当する技術者のスキルに依るところが大きいのですが、ドローンによる赤外線調査の結果は、温度の違いで発生する色の変化で画像に表示されるため、視覚的に確認できます。施工者や建物の管理者が状況を正確に把握しやすくなるというメリットがあります。
劣化や施工不良を早期発見すれば、問題が大きくなる前に修繕できます。劣化が軽微なうちに修繕することで、大規模な修繕をする必要がなくなるので、メンテナンスコストを抑えられます。
外壁タイルの点検・調査、メンテナンスに関するご相談はドローンフロンティアへ
外壁タイルはメンテナンスフリーではありません。点検と報告が義務化対象ではない建物についても、安全を確立し、外壁タイルの剥落による事故を防止するためには定期的な点検・調査と、修繕・メンテナンスが重要です。しかし、全面的な点検・調査となるとコストもかかるから大規模修繕の時に、と後回しにしがちではないでしょうか。赤外線カメラを搭載したドローンによる外壁タイルの点検・調査は、足場を組む必要がなく、微細な浮きなどの不具合も可視化し、早期発見を可能にします。ドローンフロンティアは外壁タイルの調査・点検の経験が豊富であり、ノウハウや知見を持っているだけでなく、一級建築士など建築の専門家と提携していて、ドローン検査だけでなく、どんな調査・点検でもベストな提案を行えます。ドローンによる外壁タイルの点検・調査、メンテナンスをご検討の際には私どもドローンフロンティアにご相談ください。