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ビルが雨漏りしている!その原因はどこに?なぜ?

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地球温暖化の影響で長期的な気温の上昇にともない、大気中の水蒸気が増えています。結果として、記録的な降水量を伴う事例が増加しています。ビルはコンクリートで作られた建物であり、老朽化しても、戸建て住宅のような雨漏りが発生することは稀だというイメージがあるかもしれません。しかし、ビルでも雨漏りの発生はあります。雨漏りが発生した場合、ビル内に入居しているオフィスやテナントに深刻な損害を与える場合があります。また、ビル自体に安全性の問題が発生したり、ビル内の衛生環境に影響したりすることも予想されます。ビルに雨漏りを発見した場合、迅速に原因を調査し、対処することが重要です。

ビルの雨漏りが与える影響は?

ビルに雨漏りが発生すると、建物内の湿度は上がります。湿度の上昇はカビや結露の原因となるのはいうまでもありません。室内環境の悪化によって、ビル内のオフィスや店舗など、テナントにいる人の健康に被害を及ぼす恐れがあります。オフィス内の設備・機器に水がかかり、パソコンのような精密機器が故障して、データがなくなってしまう、書類が濡れて判読できなくなるなどが発生することもあるでしょう。また、雨漏りでビルの電気設備に水が侵入すると、電気回線のショート、それにともなう火災発生の危険性も高まります。

雨漏りは迅速に補修して被害を最小限に

そのため、雨漏りを発見した際、迅速に発生場所と原因を特定し、補修することによって、被害を最小限に食い止めることが重要です。雨漏りが発生している状態を放置しておくと、その被害は拡大し、ビルの構造体へもダメージを与える場合があります。最悪の場合、建物の耐久性を低下させる原因となります。大規模修繕の際の経済的負担も大きくなるでしょう。

雨漏りの原因や場所の特定調査は困難

ビルにおける雨漏りの原因を特定するのは非常に困難な調査となります。水の浸入経路が複雑で、実際に浸入している場所と漏れ出す場所が異なることがあるほか、壁内部や天井裏のような見えない部分で浸水が進行していくため、直接確認できません。また小さな劣化が複数の箇所で同時に発生している可能性もあります。ビルの雨漏りを見つけた際にはその場所と原因を探っていくことが重要です。そうなると、目で見える部分だけでなく、目に見えない部分も調べる必要があります。

ビルの雨漏り、その原因として考えられるのは?

雨漏り

ビルに雨漏りが発生すると、雨が降った際に室内の天井や壁にシミができたり、カビが発生したり、天井から水が滴り落ちたりと、さまざまな問題が顕在化します。ビルにおける雨漏りの原因はいくつか考えられます。屋上や外壁、構造部分の防水処理不良や劣化のほか、窓のシーリング材の劣化なども疑われます。

屋上の防水処理不良・劣化

ビルの雨漏りを発見したとき、最初に確認したいのは屋上です。屋上は通常、防水層を保護するため上からトップコートを塗っています。しかし、トップコートは常に太陽光、紫外線にさらされていることや酸性雨によって劣化し、剥がれていきます。トップコートが剥がれると、防水層も劣化していきます。その状態で、排水口にゴミや落ち葉などが詰まると、排水しにくくなり、溜まった水が原因となって雨漏りが発生します。

外壁の経年劣化

外壁の防水材やシーリング(コーキング)が経年劣化すると、ひび割れや剥がれが生じます。そこから雨水が浸入すると、雨漏りとなります。また、外壁タイルやパネルといった建材が気温や湿度の影響を受けて、収縮・膨張し、下地のモルタルやコンクリートに亀裂が発生することがあります。こうして発生した亀裂から雨水が入ることがあります。

また、タイルや外壁パネルが経年劣化や接着不良で剥がれていくと、その隙間から雨水が入りますし、窓枠やパネルの接合部、配管周りに使用されるシーリング材が劣化すると隙間が生じ、そこからも雨水が浸入します。

さらには外壁に設置された排水設備やドレン(排水口)が詰まると、水が溜まって外壁内部に浸水する可能性もあるでしょう。

雨漏りの原因を調査する方法は?

雨漏り

ビルの雨漏りの原因で考えられるのはこれまでにご紹介したようなものがあります。雨漏りの原因を調査するには次のような方法があります。

  • 目視による確認や触診
  • 散水試験
  • 赤外線カメラの撮影による分析
  • そのほか

個別に調査方法を見ていきましょう。

目視による確認や触診

ビルの屋上を調査する場合には、防水層を保護しているトップコートが剥がれていないかを目視で確認してみます。トップコートの耐用年数は使用される塗料にもよりますが、およそ10年といわれています。しかし、早い場合、約3年で劣化が発生します。目視や触診でトップコートの劣化を確認します。

また外壁についてはタイルにひび割れが発生していないか、浮きが発生していないか、剥落がないか、タイルとタイルを並べた目地部分にひび割れが発生していないかなどを目視や打診で確認していきます。

散水試験

外壁の雨漏りが疑われる箇所に水をかけ、雨漏りが発生している場所・原因を特定します。少しずつ範囲を広げながら、一定時間散水し、室内に水が浸入していくかどうかを確認します。

ドローンに搭載した赤外線カメラによる調査

ドローンに搭載した赤外線カメラを使用して、外壁タイルを貼り付けている壁内の温度分布を確認します。タイルの浮きや目地のひびなどで雨水が浸入している場所は、周囲と比べて温度が低くなる傾向があります。

そのほか

室内や配管周辺に煙を発生させ、外部へ漏れる場所を確認する「発煙試験」などの方法があります。

ビルの雨漏り原因調査は複合的に

雨漏り

ビルの雨漏りが発生するのは外部の劣化だけでなく、内部の劣化も発生しているというケースがほとんどです。屋上の防水材が寿命となり、外壁にはひび割れ、窓枠やシーリングの不具合が発生、というように、複数の要因が同時に作用してしまっている例が多く見られます。そのため、ビルで雨漏りが発生している場合の原因を特定するためには複合的な調査のアプローチが必要となってきます。

ビルの雨漏りをロープ調査で行うメリット

ロープアクセス調査、あるいはロープ調査と呼ばれる方法の雨漏り調査は足場を設置する手間と費用が省けます。足場を設置する場合、数日から数週間かかることがありますが、ロープアクセスであれば迅速に調査を開始できます。足場設置の際に起こる周辺の交通、近隣歩行者への影響なども軽減できます。ビル利用者や隣接する施設に対する負担が少ないのも利点だといえるでしょう。また、ロープアクセスは壁面のひび割れやシーリング材の劣化などの細かい異常箇所を目視や触診で調査できます。

ドローンによる非破壊検査のメリット

赤外線カメラを搭載したドローンは人が行きにくい高所でもアクセスすることができます。外壁タイルの剥落や明らかな浮きが見えない場合、雨水が浸入している場所を特定するのは非常に困難です。しかし、赤外線カメラを利用することで、ビルに物理的なダメージを与えることなく、雨漏りの場所を可視化できます。

外壁で雨水が浸入している場所は周囲と比べて温度が低くなる傾向があります。微小な亀裂や隙間も雨漏りの原因となります。ドローンに搭載した赤外線カメラで外壁を撮影し、温度分布を見ていくことによって、目視や触診では発見が困難な雨漏り発生を早期の段階で発見できます。

ビルの雨漏り調査は総合的に行いましょう

ビルの雨漏り原因調査は建物全体の構造、施工、経年劣化、気象条件などが複雑に絡み合うため、単一的な視点ではなく、総合的なアプローチが不可欠です。各要素を組み合わせた綿密な調査と分析が解決への近道であり、場所や原因の特定を、低コスト、迅速・正確に行うことができます。

ビルの雨漏りを放置しておくと、建物の耐久性低下、衛生問題の発生、さらには配線への漏水によるショート、それに伴う火災発生といったリスクが高まります。雨漏りの場所と原因を迅速に特定し、補修することによってこうしたリスクを回避できます。

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