タイル貼りの外壁は高級感があり耐久性にも優れているため、多くの建物で採用されてきました。レンガ調やモザイク模様などデザインの種類も豊富で、美観を長期間保ちやすい点も魅力です。また表面が硬質で雨風や紫外線による劣化が生じにくく、塗装仕上げに比べて再塗装の手間が少ないともいわれます。しかし一方で、タイル外壁には見落とせないデメリット(欠点)も存在します。
本記事では タイル外壁の主なデメリットと注意点 について、耐久性・落下リスク・維持管理コストの観点から詳しく解説します。
※タイル貼り外壁についての全般的な解説は、こちらの記事をご覧ください。
タイル外壁のメリット
まず前提として、タイル外壁のメリットを簡単に整理します。タイル仕上げの外壁は、他の外壁材にはない重厚感と高級感を演出できるのが大きな特徴です。タイル自体が非常に硬く耐候性が高いため、風雨や直射日光による色あせ・損傷が起こりにくく、外観を美しく保ちやすい傾向があります。さらに不燃材料であることから耐火性・防音性にも優れ、建物の性能向上にも寄与します。このように、 塗り替え不要で長寿命 とされる点でタイル外壁は魅力的な選択肢となっています。
しかし、こうしたメリットの裏にはいくつか 注意すべきデメリット も潜んでいます。次に、タイル外壁の代表的なデメリットを順に見ていきましょう。

タイル外壁のデメリット
(1)外壁タイルは施工費用が高い
タイル外壁の大きな欠点の一つに 施工コストの高さ があります。一般的に、サイディングボードや塗装仕上げなど他の外装材と比べて、タイルを貼る工事は材料費・人件費ともに割高です。熟練した職人による丁寧な施工が必要なことから、施工費用が約2倍程度に膨らむ場合もあります。そのため予算に余裕がない場合、タイル外壁は採用を断念せざるを得ないケースも少なくありません。
ただし施工費用は高くても、後述するようにタイルは長期的な塗装が不要なため維持費を抑えやすい側面もあります。初期投資とランニングコストのバランスを総合的に検討することが大切です。
(2)タイル外壁は目地材が劣化し定期メンテナンスが必要
タイルそのものは半永久的ともいわれるほど耐久性が高い素材ですが、タイルを支える周辺部分(接着層や目地シーリング材)の寿命はそれほど長くありません。施工後年月が経つと、タイル間の目地やコーキング材が硬化して亀裂が生じたり、下地モルタルとの間の接着剤が劣化して粘着力を失ったりします。
その耐用年数は一般に5~10年程度とされ、遅くとも 築10年前後で一度は外壁の点検と補修を行うことが推奨 されています。適切な時期に目地の打ち替えやタイル浮きの検査・補修を実施しないと、隙間から雨水が浸入して下地コンクリート内部の鉄筋腐食やカビ発生の原因にもなります。タイル自体には塗り直し等の手間が不要とはいえ、「メンテナンスフリーではない」点に注意が必要です。
※外壁タイルの浮きや剥落についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
少なくとも 10年目までに一度、以降も定期的に外壁診断と必要な補修を施す ことで、タイル外壁本来の長寿命を全うさせることができます。
※外壁タイルのメンテナンスについての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
(3)タイル外壁には剥落(落下)事故のリスクがある
タイル外壁の最も深刻なリスクとして、 タイルの剥落・落下事故 が挙げられます。経年劣化や施工不良によって外壁のタイルが浮いて剥がれかけた状態を放置すると、いずれタイルが下に落下してしまう危険があります。高所から硬いタイルが落下すれば、下を歩く人に直撃して負傷事故(最悪の場合は死亡事故)につながりかねません。
実際に、築年数の経ったビルの外壁タイルが剥落して通行人が重傷を負った例や、大規模なタイル剥落事故で歩行者が亡くなったケースも報告されています。こうした事故が起きた場合、 建物所有者や管理者は民法第717条に基づき損害賠償責任 を問われます。被害者への補償だけでなく、 建物の信用失墜や資産価値の低下 にも直結する重大な問題です。タイル落下事故を防ぐためには、日頃から外壁の異常兆候(ひび割れ、浮きなど)を見逃さず、早めに専門業者による点検・修繕を行うことが不可欠です。
また日本では2008年の制度改正以降、一定規模以上の建物に対して 10年ごとの外壁全面調査(打診調査等)の実施と行政への報告が法令で義務付け られています。仮に定期調査を怠って落下事故を起こした場合は、罰金など厳しい罰則も科されるため注意が必要です。タイル外壁を安全に維持するため、法律で義務付けられた建物はもちろん、対象外の中低層建物であっても自主的に定期点検を行うことが望ましいでしょう。早期発見・早期対処を心がけることで結果的に大掛かりな修繕や補修費用も抑えられ、建物の安全と美観を長く維持できます。
以上のように、 タイル外壁には定期的なメンテナンスや安全管理が欠かせない 点に留意する必要があります。初期費用の高さや重さによる構造上の配慮はあるものの、専門的な施工と計画的な維持管理を行えばタイル外壁は高い耐久性と美観を発揮します。建物をタイル外壁で仕上げている場合は、長所だけでなく上記デメリットも踏まえて総合的に管理計画を立てることが重要です。
※外壁調査・点検の法的義務についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
タイル外壁の維持管理と安全確保のために
タイル外壁を長期にわたり安全に運用するには、 専門業者による定期点検と早めの補修が鍵 となります。従来、外壁の詳細調査は足場の設置や高所作業車が必要でコスト・日数がかかりましたが、近年ではドローン(無人航空機)を活用した外壁調査が登場し、効率的かつ安全に外壁の劣化診断を行うことも可能になっています。
※ドローン赤外線調査についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
弊社ドローンフロンティアでは、赤外線カメラ搭載ドローンによる外壁診断サービスを提供しており、広範囲のタイル浮きやひび割れも短時間で検出することができます。法令で定められた定期調査の実施はもちろん、「タイルが浮いている気がする」「外壁にひびが見つかった」など不安を感じる点がございましたら、ぜひドローンフロンティアにご相談ください。豊富な経験と確かな技術に基づき、安全第一で建物外壁の点検・診断を行わせていただきます。適切な維持管理によってタイル外壁の美しさと安心を長く保ちましょう。
