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12条点検の対象建物とは?対象となる建物の種類と点検周期を解説

投稿日:2025年9月2日 更新日:

建築物の所有者や管理者にとって、「12条点検」(建築基準法第12条に基づく定期点検)が自分の建物に必要かどうかを正しく把握することは重要です。12条点検は法律で義務付けられた建物の安全点検ですが、対象建物となるのは用途や規模など一定の条件を満たす建築物に限られています。対象外の建物もあるため、どのような建物が該当するのか、また点検はどのくらいの頻度で行えばよいのかを知っておく必要があります。

本記事では、 12条点検の対象となる建物の種類や点検周期について具体例を交えてわかりやすく解説 します。

※12条点検についての全般的な解説は、こちらの記事をご覧ください。

12条点検とは?重要性と建物管理者に求められる対応を解説

12条点検とは何か?

まず、12条点検の概要を簡単に確認します。12条点検とは、建築基準法第12条に基づき一定の建築物に対して定期的に行われる安全点検のことです。多数の人々が利用する建物などに対し、建物の所有者または管理者は有資格者による調査・検査を定期的に実施し、その結果を管轄の行政庁に報告する義務があります。この定期報告制度は、建物の劣化や不具合を早期発見し、事故や災害を未然に防ぐことを目的としています。

万一、 報告を怠ったり虚偽の報告を行った場合、建築基準法第101条により罰則(100万円以下の罰金)が科される可能性 もあります。そのため、建物の安全性を維持するためにも法令に沿った定期点検と報告を確実に実施することが重要です。

12条点検の対象建物とはどんな建築物か

では、具体的に12条点検の対象となる建物にはどのようなものがあるのでしょうか。建築基準法および政令では、安全上・防火上特に重要とされる建築物を「特定建築物」として一律に定め、それらが定期点検の対象となります。また、それ以外の建築物についても地域の実情に応じて各特定行政庁(自治体)が対象を指定できる仕組みになっています。一般的には、 不特定多数の人が利用する公共性の高い建物や、火災時などに自力で避難することが難しい方が利用する施設が対象 となります。

不特定多数が利用する大規模建物

多数の人が出入りする公共性の高い建物で、一定規模以上のものは12条点検の対象です。具体例として、以下のような建築物が該当します。

  • 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場など多数の人を収容する施設
  • 百貨店、マーケット、ショッピングモール等の物品販売店舗(大規模な商業施設)
  • ホテル、旅館(規模の大きい宿泊施設)
  • 博物館、美術館、図書館などの公共施設や娯楽施設
  • 学校や体育館(学校に附属するものを含む)や病院、診療所(入院施設のあるもの)

以上のような建築物は、不特定多数の利用者が日常的に出入りし、万一建物の倒壊や火災時の設備不備があれば甚大な被害につながるおそれがあります。そのため国の政令により一律に特定建築物として指定され、定期的な安全点検と報告が義務付けられています。例えば劇場や映画館といった興行施設は客席数が多く、高所からの避難が伴うこともあるため毎年報告が必要な対象となっています。また大型商業施設(百貨店等)や高層ホテルなども同様に、広範囲に多数の利用者がいる建物として重点的に監督されています。

自力避難が難しい人が利用する施設

高齢者や障がい者など、自力での迅速な避難が難しい人々が宿泊・利用する施設も12条点検の対象に含まれます。具体的には、以下のような建築物です。

  • 有床の病院・診療所(入院設備のある医療施設)
  • 特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの高齢者向け居住施設
  • 障がい者支援施設やグループホーム(避難時に介助を要する方が暮らす施設)
  • 保育所、児童福祉施設(児童が宿泊する施設や乳児院等を含む)

これらの施設では火災や地震などの際に利用者が自力で速やかに避難することが難しいため、建物や設備に不備があると甚大な被害につながります。そのため、法令により就寝の用に供する福祉施設等として特に指定され、定期調査の対象となっています。たとえば特別養護老人ホームのように介助が必要な高齢者が夜間滞在する施設では、年1回以上の防火設備点検が義務付けられるなど厳格な管理が求められます。建物の構造はもちろん、非常用照明や防火扉の作動状況まで含めた定期的な確認が欠かせません。

地域ごとに指定されるその他の建物

上記の政令指定以外にも、各自治体が地域の実情に応じて対象とする建物があります。代表的な例として大規模な共同住宅(マンション)やオフィスビル、あるいは学校体育館などが挙げられます。これらは全国一律ではなく、延べ面積や階数の条件を各自治体が定めて対象に含めています。例えば 「階数が一定以上かつ延べ床面積が〇㎡を超えるオフィスビル」などの基準があり、該当すれば特定建築物として定期点検が必要 です。実際に5階建て以上で延べ面積2,000㎡超のオフィスビルや、10階建て程度の大型マンションであれば、多くの自治体で特定建築物に指定されています。建物の用途が複合している場合も個別に判断されますので、自身の建物が該当するかどうかは管轄自治体の公式情報を確認すると良いでしょう。

12条点検の点検周期(頻度)について

12条点検の点検周期は建物の種類や点検項目によって異なりますが、建築物本体に関する定期調査は概ね「3年に1回」行うのが原則です。一方、建築設備や防火設備に関する定期検査は毎年行うことと定められています。以下では、建物本体の調査と設備等の検査それぞれの頻度について具体的に説明します。

建築物の定期調査は原則3年ごと

建物の構造や外装・敷地状況などに関する特定建築物定期調査(建物本体の点検)は、法律上3年以内ごとに実施することが義務付けられています。これは定期的に点検することで建物の老朽化による劣化を早期に発見し、安全性を維持するための最低限の頻度とされています。なお、新築または大規模改修後に初めて行う最初の定期調査については、検査済証交付日(建物完成時)から6年以内に実施すればよいとされています。これは建物竣工直後は劣化が少ないことを考慮した初回猶予措置です。以降は3年ごとに定期調査報告を行い、調査結果を行政庁へ提出する流れになります。

ただし、建物の所在地や用途によっては指定された報告時期が細かく決められており、すべての特定建築物が同じタイミングで報告するわけではありません。例えば東京都では特定建築物を用途別にグループ分けし、「3年ごと」の報告でも建物によって提出年度がずれるよう調整されています。また、 地震や台風が頻発する地域などでは、安全確保のために所有者が法定以上の頻度で自主点検を実施するケースもあります。 基本的には法律の定める3年周期を守れば問題ありませんが、建物の状況によってはより短いスパンで点検することが望ましい場合もあるでしょう。

建築設備や防火設備の検査は毎年実施

12条点検に含まれる建築設備定期検査および防火設備定期検査については、建物本体とは異なり毎年1回以上の検査が義務付けられています。対象となる設備は、たとえば換気設備・排煙設備・非常用照明・給排水設備など建築物に備え付けられた機械設備類、および防火扉・シャッター等の防火設備です。これらの設備は人命に直結する機能(避難経路の確保や火災拡大防止など)を担うため、毎年専門の検査員による点検と報告が必要となります。エレベーターやエスカレーターなどの昇降機も同様に毎年定期検査の対象です。新築時から最初の設備検査については、建物完成後2年以内に実施することと定められており、その後は原則として毎年1回のペースで検査を行います。設備や防火区画は日常の目視では異常に気付きにくいため、専門家による定期検査を怠らないようにしましょう。

なお、これら建築設備や防火設備の定期検査結果も建物本体の調査とあわせて特定行政庁へ報告する必要があります。例えば大規模なテナントビルの場合、 3年に1度の建物構造の調査報告に加え、毎年の設備・防火設備検査報告が義務 となります。報告書様式はそれぞれ定められていますが、多くの自治体では建物調査と設備検査を同じ時期に提出させる運用が取られています。自社ビル等をお持ちの場合は、建物全体の維持管理計画の中で忘れずに定期報告スケジュールを組み込んでおくことが大切です。

※防火設備定期検査についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

12条点検における防火設備点検の概要と重要性

確実な12条点検のために専門業者へ依頼を

ここまで見てきたように、12条点検の対象建物に該当する物件を所有・管理する場合は、法律に沿った周期で建物の定期調査と設備検査を行い、その都度行政へ報告しなければなりません。建物の規模が大きかったり高層であったりすると、外壁や屋上の点検には高所作業が伴い、専門的な知識と技術が必要です。そこでポイントになるのが、 信頼できる調査の専門業者に依頼すること です。建物の安全性を維持するには、経験豊富で適切な資格を持つプロに点検を任せるのが安心といえるでしょう。

昨今では調査手法も高度化しており、ドローンや赤外線技術を活用した非接触の点検も可能になっています。足場を組まずに上空から撮影した画像や赤外線による劣化診断によって、従来より効率的かつ安全に外壁や屋上の状態を把握できるケースも増えています。一方で、劣化の詳細な確認や仕上げ材の浮きの検出には、ハンマーによる打診等の近接調査が必要になる場合もあります。ドローンフロンティアでは ドローンによる空撮・赤外線調査に加えて、技能スタッフがロープアクセスで外壁の打診調査を行うことも可能であり、対象物件に応じた最適な手法で調査を実施 しています。法定点検の専門知識と新しいテクノロジーを組み合わせ、効率的かつ確実な12条点検の支援が可能です。

定期報告の対応や外装劣化調査についてお困りの際は、ぜひ弊社ドローンフロンティアまでご相談ください。

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