赤外線調査

12条点検における外壁調査の費用と相場の目安

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建物の安全を維持するために欠かせない「12条点検」ですが、外壁調査などを実施する際に気になるのがその費用です。点検の費用は建物の規模や調査方法によって大きく異なり、正確な相場を把握していないと予算計画を立てるのが難しい場合もあります。

本記事では、12条点検の概要とともに、 外壁調査を中心とした費用の目安や費用を左右する要因について解説 します。

※12条点検についての全般的な解説は、こちらの記事をご覧ください。

12条点検とは?重要性と建物管理者に求められる対応を解説

12条点検の概要と目的

12条点検は、建築基準法第12条に基づく建物の法定点検です。デパートや病院、ホテル、マンションなど多数の人が利用する「特定建築物」は、定期的に専門技術者による調査を実施し、その結果を所管行政庁へ報告することが建物所有者または建物管理者の義務となっています。この制度は建物の老朽化や不備による事故・災害を未然に防ぎ、利用者の安全を確保することを目的としています。点検では建物の構造躯体や外壁の劣化状況、不適切な改造による違反箇所などをチェックし、建物が引き続き安全かつ適法に維持管理されているかを確認します。

なお、12条点検は大きく4種に分類され、建物本体を調査する「特定建築物定期調査」、設備を対象とする「建築設備定期検査」、エレベーター等の「昇降機等定期検査」、そして「防火設備定期検査」が含まれます。建物用途によっては毎年もしくは数年ごとに定期報告が必要であり、管理者はスケジュールを把握して確実に点検を実施する責任があります。

建物管理者に課される義務と罰則

特定建築物に該当する建物では、オーナーや管理組合といった建物管理者が定期点検と報告を怠らないよう求められています。もし12条点検を実施せず報告を怠った場合、建築基準法違反となり最大で100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。虚偽の報告を行った場合にも罰則の対象となり、場合によってはより重い処分を受けることもあります。さらに、点検を怠った結果建物の不具合が原因で事故が発生し第三者に被害を与えた場合、建物所有者・管理者は民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。そのため、 建物管理者は定期点検の時期を把握し、確実に実施することが重要 です。

また、12条点検の調査・検査業務は有資格者(一級建築士など)でなければ行えないと定められており、専門の調査会社への依頼が必要です。建物の安全性と法令遵守のため、責任ある対応が求められます。

12条点検における外壁調査の重要性

数ある点検項目の中でも、外壁の安全性確認は特に重要です。建物の外壁仕上げ材(タイルやモルタルなど)が老朽化して剥落すると、通行人に重大な被害を及ぼす恐れがあるためです。実際に1989年には北九州市でビル外壁の落下事故が発生し、以後外壁の定期調査が強化されました。建築基準法の定期報告制度では、築10年を経過した建物や外壁改修後の建物について、 外壁全面の詳細調査を少なくとも10年に一度行い報告することが義務付けられています。 通常の定期調査では目視による外観チェックが中心ですが、10年ごとのタイミングでは外壁の全面打診調査等を実施して、見えない劣化を発見する必要があります。

外壁調査には大きく分けて打診調査赤外線調査の2つの方法があります。

打診調査

専用のハンマーなどで外壁を叩いて音の変化から浮きを確認する従来からの手法です。打診は近接で一つ一つ点検するため精度が高い一方、作業には足場や高所作業車・ゴンドラの設置が伴い、大規模な建物では調査期間が長くなりやすいという面があります。

赤外線調査

赤外線カメラで外壁表面の温度分布を撮影し、内部の浮きを画像解析で検出する方法です。近年はドローンに赤外線カメラを搭載して高所から広範囲を効率良く撮影できるため、大規模建物でも短期間で調査可能です。赤外線外壁調査は非接触で安全に実施できる点に加え、広い面積を一度に調べられるため効率性や安全性に優れた方法として注目されています。

なお、通常の定期点検では3年に一度程度の頻度で人が手の届く範囲の外壁を部分的に打診確認することが求められ、10年ごとに外壁全面の近接調査(打診または赤外線等)を行う運用が一般的です。 外壁は常に風雨や地震にさらされ劣化が進みやすいため、定期的な調査で早期に補修箇所を把握することが建物管理者にとって不可欠 です。

※12条点検における外壁調査の方法と調査が必要な範囲についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

12条点検における外壁調査の方法と調査が必要な範囲について

外壁調査の費用相場

気になる費用面についてですが、外壁調査の費用は建物の規模や構造、そして調査方法によって大きく変動します。そのため「○○円」といった明確な相場は一概には言えませんが、参考までに調査方法ごとの費用目安を紹介します。

打診調査

精度が高く確実な診断が可能な反面、足場の架設や高所作業車の手配、人手の確保が必要となりコスト高となります。比較的リーズナブルなのはロープアクセス工法(高所作業員が建物頂部からロープで降下して打診)で、この場合でも1㎡あたり約400~600円が一般的です。一方、仮設足場を組む場合は費用が大きく跳ね上がり、㎡単価が約2000円になる例もあります。ロープ打診は足場代が不要な分コストを大きく削減でき、打診法の中では比較的安価な選択肢とされています。

いずれにせよ、 打診調査は赤外線調査と比べて総じて費用負担が大きい点に注意が必要 です。そのため近年では、特別な事情がない限り費用と作業効率のメリットが大きい赤外線調査の採用が主流になりつつあります。

赤外線調査

広範囲を足場なしで一度に調査できるため、費用は比較的安価に抑えられます。外壁面積あたりの料金目安は約200~450円/㎡で、調査面積が大きいほど単価は下がる傾向があります。赤外線調査は足場やゴンドラの設置が不要な分、人件費・仮設費を大幅に削減でき、 従来の打診法に比べ調査コストを半分以下に抑えられる ケースも多いです。

ただし、赤外線の特性上、小さい浮きの検出精度や天候の影響(日照条件など)には留意が必要で、見落としを防ぐため一部は近接目視・打診で補完することもあります。

具体的な金額は各建物の状況によって大きく異なるため、 正確な費用を知るには実際に調査業者から見積もりを取ることが重要 です。

まとめ

12条点検は建物の安全・安心を維持するために欠かせない法定点検であり、建物管理者には適切に実施する責任があります。特に外壁の点検は10年ごとに専門的な調査が義務付けられており、怠ると法的な罰則や思わぬ事故リスクに直結します。費用面では建物規模や調査方法によって差が生じますが、最新技術を活用した調査で効率化を図ることでコストと時間の削減が期待できます。こうした定期点検は専門知識を持つ資格者による調査が必要なため、 信頼できる調査会社に依頼することが重要 です。

弊社ドローンフロンティアでは、建物外壁の 赤外線調査(ドローン活用)とロープアクセスによる打診調査の両方が実施可能 であり、調査対象となる物件の状況に合わせて最適な手法で調査を行っております。赤外線技術による非接触の診断と、必要に応じた近接での詳細打診により、効率性と信頼性の高い外壁点検を提供しています。法律で定められた12条点検への対応や外壁劣化の早期発見に不安がある方は、ぜひ一度ドローンフロンティアにご相談ください。慎重かつ的確な調査で、皆様の大切な建物の安全管理をサポートいたします。

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