近年、建物の外壁調査にドローン(無人航空機)を活用するケースが増えています。外壁は経年劣化によってタイルの剥落やモルタルのひび割れなどが生じることがあり、高所からの落下事故を防ぐため定期的な調査が欠かせません。特に不特定多数が利用するビルやマンションでは、建築基準法により外壁調査の実施と報告が義務付けられています。
本記事では、 外壁調査の重要性と従来の調査方法、ドローンを活用した外壁調査のメリットや注意点、さらに調査を業者に依頼する際のポイントについて解説 します。
※外壁調査についての全般的な解説は、こちらの記事をご覧ください。
外壁調査の必要性と法的義務
建物の外壁は常に風雨や紫外線にさらされて劣化が進行します。外壁タイルの浮きやひび割れを放置すると、タイル片やモルタル片が剥がれて落下し、歩行者や建物利用者に被害を及ぼす恐れがあります。そのため一定規模以上の建築物では、建築基準法第12条に基づく「特定建築物定期調査制度」において 定期的な外壁調査と行政への報告が義務 となっています。通常はおおむね1~3年ごとに簡易な目視調査と部分打診による外壁調査を行い、さらに竣工後(または前回の大規模改修後)10年目に、外壁全面の詳細な調査(全面打診等)を実施して報告する必要があります。
仮に 調査・報告を怠れば建築基準法違反となり、100万円以下の罰金など厳しい罰則の対象 となり得ます。また報告を怠った状態で万一外壁の落下事故が起きれば、所有者・管理者は多大な賠償責任を問われる可能性もあります。建物の安全確保と法令遵守のため、外壁調査は確実に実施しなければなりません。
外壁調査の従来手法とドローン活用への展開
従来、外壁の詳細調査を行うには、調査員が足場やゴンドラ、高所作業車などを用いて建物の外壁全体に接近し、目視で異常を確認するとともにハンマー等で外壁を叩いて音の変化から内部の浮きを探る「打診調査」を行う必要がありました。高所まで広範囲を直接調べるこの方法は、調査員が高所作業に従事するリスクを伴ううえ、足場仮設やゴンドラ設置など準備にも大きな手間と費用が掛かります。調査対象が高層建築物になるほど人的負担やコストは増大し、居住者・利用者にも工事期間中は足場が景観や日常生活へ影響を与えるなどの課題がありました。
こうした背景から注目されているのが、ドローンを活用した外壁調査です。小型無人機に高解像度カメラや赤外線カメラを搭載し、地上から遠隔操作で外壁の状況を詳細に調査できます。近年の技術発展により、ドローンによる撮影画像から外壁タイルの浮き・剥離やモルタルのひび割れ、塗装の剥がれ、金属部の腐食、部材間の隙間の有無といった様々な劣化症状を発見可能です。さらに赤外線カメラで外壁表面の温度分布を撮影すれば、 肉眼では見えない内部の浮きや剥離の兆候も温度差として可視化 できます。例えばタイル下地に空洞があると熱が伝わりにくいため、その部分の表面温度が周囲より高く映る傾向があり、赤外線画像によって効率的に浮き箇所を洗い出せます。
また、2022年(令和4年)の建築基準法関連法令の改正により、従来の全面打診に加えて 「赤外線装置を搭載したドローンによる外壁調査」が正式に制度上認められました。 テストハンマーによる打診と同等以上の精度が確保されることを条件に、ドローンを用いた非接触の調査手法で外壁の健全性評価が可能となり、従来方法の代替または補完手段として期待されています。こうした制度面の追い風もあり、外壁調査にドローンを導入する動きが全国で本格化しています。

ドローン外壁調査のメリットと留意点
ドローンを活用した外壁調査には、安全性・効率性を中心に多くのメリットがあります。ここでは主なポイントを解説します。
高所作業が不要で安全性が向上
ドローン外壁調査では調査員が直接高所に登る必要がないため、墜落・転落といった事故リスクを大幅に低減できます。足場や吊り作業台を設置せずに済むことで、調査従事者だけでなく居住者や周辺歩行者にとっても安全な調査環境が確保できます。
足場仮設が不要でコスト削減・期間短縮
ドローンを用いれば、従来必要だった足場の組立やゴンドラ設置といった仮設作業が不要になります。その分、調査の準備期間を大幅に短縮でき、足場材や高所作業車の手配費用も削減可能です。一般的に外壁全面打診には数日から数週間を要しましたが、ドローン調査なら短期間で広範囲を撮影できるため、調査の実施日数も大幅に圧縮できます。建物への仮設物が少ないぶん、居住者やテナントへの影響も抑えられます。
高精度なデータ記録と分析が可能
高解像度の可視画像や赤外線サーモグラフィ画像をデジタルデータとして記録・保存できる点もドローン外壁調査の利点です。目視や打診音だけに頼る調査と異なり、取得データを後から専門家が繰り返し分析したり、過去の調査結果と比較して劣化の進行を評価したりすることが容易になります。客観的なエビデンスに基づく報告書作成が可能となり、調査精度と信頼性が向上します。
もっとも、ドローン外壁調査を効果的に行うには注意すべき点もあります。赤外線カメラによる診断は外壁が十分に太陽熱を蓄えた状態で行う必要があり、雨天直後や日照の少ない時間帯は避けるなど、専門知識に基づいた計画立案が重要です。また外壁の材質や劣化状況によっては赤外線画像に顕著な差異が現れないケースもあり、ドローンでは検出が難しい異常については従来通り近接目視や打診で確認するなど、他の手法との適切な併用が求められます。最大限の効果を発揮するため、 ドローン操縦技術と建物診断の専門知識を兼ね備えたプロによる実施が不可欠 と言えるでしょう。
外壁調査を業者に依頼する際のポイント
外壁調査を専門業者へ依頼する場合、技術力と信頼性の高い業者を選ぶことが重要です。特にドローンを活用した外壁調査では、高度な操縦スキルと建物劣化診断の知識を併せ持つ人材が必要になります。実績豊富で一級建築士など有資格者のチェック体制が整った業者であれば、法律に則った適切な調査報告を期待できるでしょう。また、ドローン飛行にあたっては国土交通省からの飛行許可・承認が必要となります。依頼先が飛行許可を取得し、万一の賠償保険にも加入しているか事前に確認しておくと安心です。
さらに、調査後に提出される報告書の内容も重要なチェックポイントです。外壁の劣化箇所や症状が分かりやすく整理され、今後の補修計画に役立つような報告書を作成できる業者かどうかも判断材料となります。総じて、 技術力・法令順守・実績の三拍子が揃った専門業者に依頼することで、安全かつ的確な外壁調査と診断が実現 します。
外壁調査はドローンフロンティアにお任せください
建物の外壁調査は法的な義務であると同時に、所有者や管理者の重大な責任です。建物の規模や用途に関わらず、定期的に外壁の健全性を調査し、劣化の兆候があれば早期に発見・補修することが安全な建物維持につながります。近年普及しつつあるドローン外壁調査を活用すれば、 従来より短い工期で低コストかつ安全に精度の高い調査が可能 です。
弊社ドローンフロンティアでは、赤外線カメラ搭載ドローンによる非破壊の外壁調査サービスを提供しております。また赤外線調査だけでなく、有資格者による ロープアクセスでの打診調査にも対応可能であり、対象建物の構造や状況に応じて最適な手法を組み合わせて調査を実施 します。外壁調査の実績も多数ございますので、ビル・マンション等の外壁調査をご検討の際は、ぜひ弊社ドローンフロンティアにご相談ください。
