赤外線調査

赤外線外壁調査とは?安全で効率的な外壁調査手法のメリットと課題

投稿日:2025年11月19日 更新日:

建物の外壁は経年劣化によりタイルの剥離やひび割れが発生し、放置すれば落下事故につながる危険があります。そのため、外壁調査は建物の安全維持に欠かせない重要な作業です。

従来は打診棒やハンマーで外壁を叩いて異常を確かめる「打診調査」が一般的でしたが、足場設置による高所作業を伴いコストや時間、安全面で負担が大きい方法でもあります。近年では、赤外線カメラを用いて外壁内部の状態を非接触で調べる「赤外線外壁調査」が注目されており、安全かつ効率的に外壁調査を行う手法として普及しつつあります。

本記事では、 赤外線外壁調査の仕組みやメリット・課題、従来手法との違い、さらにドローンの活用による調査手法の進展について解説 します。

※外壁調査についての全般的な解説は、こちらの記事をご覧ください。

外壁調査の基礎知識:建物管理者が押さえておくべきポイントについて解説

外壁調査の必要性と法的背景

建物の外壁仕上げ材(タイルやモルタルなど)は、時間の経過とともに下地との間に隙間(いわゆる「浮き」)が生じ、内部から劣化が進行します。小さな浮きでも放置すれば拡大し、最終的にはタイルやモルタル片の剥落事故を招く恐れがあります。こうした事故を防ぐため、 建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、一部の大規模建築物(特定建築物)に対し外壁の定期調査・報告を義務付けています。 

特に竣工後または外壁改修後おおむね10年目に実施する定期報告では、外壁全面にわたる詳細な調査(全面打診等調査)の実施と結果報告が必要とされ、3年ごとの部分調査では届かない高所も含めて外壁全体の状態を確認することが求められます。従来、この「全面打診等調査」には足場やゴンドラを用いた人力での打診調査が行われてきましたが、調査範囲が広いほど費用や作業負担が大きくなります。そこで、より 効率的かつ安全に外壁全体を調べる方法として期待されるのが赤外線を活用した調査手法 です。

赤外線外壁調査の仕組みと特徴

赤外線外壁調査とは、赤外線サーモグラフィカメラを用いて建物外壁表面の温度分布を計測し、その温度差から内部の劣化や浮きの有無を診断する非破壊検査技術です。

太陽熱や気温変化により外壁表面が温められたり冷やされたりすると、下地との間に空気層がある部分(浮き部)は健全部と比べて熱の伝わり方が異なるため、表面温度に差が生じます。赤外線カメラでこの微細な温度差を可視化することで、目視では確認しにくいタイルやモルタルの浮き、内部のひび割れや雨水の浸入による湿気など外壁内部の潜在的な不具合を早期に発見することが可能です。

従来の打診調査や近接目視では把握できなかった 外壁の内部状態を非接触で調べられる点が、赤外線外壁調査の大きな特徴 と言えます。

赤外線外壁調査のメリット

赤外線による外壁調査には、従来手法にない様々なメリットがあります。主な利点を以下に挙げます。

足場が不要で安全

非接触で遠隔から測定できるため、調査のために足場や高所作業車を設置する必要がありません。作業員が高所で長時間作業するリスクを減らせ、 安全性が向上 します。

短期間で広範囲を調査

赤外線カメラによる熱画像撮影は広い壁面を短時間でカバーできるため、 調査効率が高い です。大規模な建物でも従来より迅速に外壁全面の点検が完了します。

コスト削減

足場を組む費用や人件費を大幅に削減できるため、 調査コストの低減 につながります。特に高層建築物では、従来法に比べ赤外線調査のコストパフォーマンスが優れています。

非破壊かつ記録が容易

外壁を直接叩いたり傷つけたりせずに内部の状態を評価でき、建物を痛めません。また、取得した熱画像データは デジタル記録として保存・解析が可能 であり、後から必要に応じて確認や比較ができるという利点もあります。

精度の高い診断

適切な条件下で実施すれば、浮きの有無を高い精度で判定できます。人の感覚に頼る打診と異なり、熱画像解析によって 客観的な根拠に基づく診断が可能 です。

赤外線外壁調査の課題と注意点

一方で、赤外線外壁調査を実施するにあたって留意すべき点限界もあります。 最大の課題は調査環境への依存性 です。赤外線調査は外壁表面の温度差を利用するため、十分な温度変化が得られる気象条件が整わないと精度が下がります。日中と夜間の気温差が小さい日では、外壁に十分な温度差が生じず浮きの反応を検出しにくくなります。一般に 日中の温度較差が5℃未満や風が強い(風速5m/s以上)場合は調査が困難とされ、天候の見極めと調査計画の調整が重要 です。

また、赤外線画像の解析には専門知識と経験が必要であり、調査員の技術レベルによって結果の信頼性が左右される面もあります。十分な知見を持つ技術者が適切な手順で機器を扱わなければ、正確な診断は難しいでしょう。

さらに、 外壁の材質や構造によっては赤外線調査が適さないケース もあります(例:外壁に外断熱工法が使われている場合や、日射の当たりにくい複雑な形状の部分など)。そのため、打診などの他手法との組み合わせによるフォローも考慮すべきです。

ドローンを活用した赤外線外壁調査

赤外線外壁調査は地上からカメラを撮影する方法でも実施可能ですが、近年ではドローン(無人航空機)を用いて外壁を近接撮影する赤外線調査が本格的に普及し始めています。ドローンに赤外線カメラを搭載すれば、 高層建築物の外壁を上空から水平に近い角度で撮影でき、従来地上からでは困難だった高所・広範囲の調査が容易になります。 

例えば超高層マンションやビルでも、ドローンなら足場無しで隅々まで熱画像を取得でき、より精密で網羅的な診断が可能です。実際、 国土交通省は令和4年(2022年)に外壁調査方法のガイドラインを改定し、赤外線装置を搭載したドローンによる外壁調査は、従来の打診調査と同等以上の精度を持つ調査方法として正式に位置づけました。 この改正により、従来は足場を組んで行っていた10年ごとの全面打診等調査を、ドローンによる赤外線調査で代替または補完できる道が開かれています。ドローンを活用することで、調査期間の短縮コスト削減労働安全性の向上が期待でき、建物管理者にとって大きなメリットとなるでしょう。

ただし、ドローン飛行には航空法等に基づく許可・操縦技術が必要であり、機器の安定飛行や安全管理にも専門的な知識が欠かせません。 ドローン赤外線外壁調査を導入する際は、実績のある専門業者に依頼して確実な調査を行うことが重要 です。

※ドローンを活用した外壁調査についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

外壁調査にドローンを活用!効率的・安全な調査手法とメリットを解説

外壁調査は専門業者へ依頼を

建物の外壁安全を守るためには、適切な時期に適切な方法で調査を行い、劣化の兆候を見逃さないことが大切です。赤外線外壁調査は有力な手段ですが、その効果を十分に引き出すには 高度な技術と環境条件の見極めが必要 です。また、場合によっては伝統的な打診調査との併用も求められます。こうした外壁調査を確実に実施するためにも、信頼できる専門業者に依頼することをおすすめします。

弊社ドローンフロンティアでは、赤外線サーモグラフィを用いた外壁調査だけでなく、 ロープアクセスによる打診調査にも対応可能 です。調査対象の建物に応じて最適な手法を選択し、効率的かつ安全な外壁調査を実施いたします。外壁の劣化診断や定期調査をご検討中の際は、ぜひドローンフロンティアにご相談ください。

※赤外線外壁調査のサービス内容については、こちらのページをご覧ください。

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