近年、建物の外壁や屋根の点検にドローンを活用するケースが増えています。高所の詳細な調査を短期間・低コストで安全に行えるため、企業の設備担当者や建物管理者にとって魅力的な手法となっています。ただし、ドローンによる点検を効果的かつ安全に実施するには、操縦者や担当者が専門的な知識・技術を身につけていることが重要です。その証明となるのが各種「資格」です。
本記事では、 ドローン点検に関わる資格にはどのような種類があるのか、そしてそれぞれの資格が実務でどのように役立つのかを解説 しています。
※ドローン点検についての全般的な解説は、こちらの記事をご覧ください。
ドローン点検に資格は必要か?
結論から言えば、 ドローンによる点検に資格が必須というわけではありません 。現行の日本の法律では、所定の手続きを踏めば資格がなくてもドローンを飛行させ点検作業を行うこと自体は可能です。例えば、国土交通省への飛行許可申請や安全対策を適切に行えば、資格がなくてもドローンでの外壁調査は実施できます。しかし、 実際の業務として安全かつ精度の高い調査を行うためには、関連する技能や知識を証明する資格を取得しておくことが望ましい でしょう。
資格を持っている操縦者であれば、法律・技術両面の理解が深く、トラブル時の対応力も備えていると期待できます。また、資格保有者が在籍する業者であれば安全性や信頼性の面で安心できるため、建物管理者が業者を選定する際の重要なポイントにもなります。特に企業でドローン活用を検討する場合、社内で資格取得者を育成すれば業務の効率化につながるメリットもあります。
以上のように、ドローン点検に資格は 「無くてもできるが、あると非常に有用」 という位置付けです。
ドローン点検で活用できる資格の種類
無人航空機操縦者技能証明(ドローンの国家資格)
無人航空機操縦者技能証明は、2022年に始まった ドローン操縦の国家資格制度 です。一等無人航空機操縦士(一等資格)と二等無人航空機操縦士(二等資格)の2種類があり、それぞれ飛行できる範囲や条件が異なります。
ドローンの飛行リスクは レベル1からレベル4 に分類されており、レベル1・2が目視内での飛行、レベル3が補助者なしの目視外飛行(ただし第三者がいない無人地帯に限る)、そしてレベル4が有人地帯(第三者がいる場所)での補助者なし目視外飛行を指します。
二等資格はレベル3までの飛行が可能で、夜間飛行や目視外飛行も無人地帯であれば許可されます。一方、一等資格を取得すればレベル4を含む全ての飛行レベルでドローンを操縦できます。つまり、 有人地帯上空での目視外飛行(レベル4飛行)を行いたい場合は一等資格が必要となり、それ以外の目的であれば二等資格で対応可能 です。実際、建設業の点検や空撮など多くの産業用途ではレベル4飛行まで必要としない場合が多いため、 業務でドローンを使う方はまず 二等資格の取得を目指すケースが一般的 です。
なお、国家資格を取得していても 全ての飛行許可が不要になるわけではありません 。例えば、空港周辺や上空150m以上の高度での飛行、大型(25kg以上)のドローンの飛行、物件投下や危険物輸送といった 特殊な飛行を行う際は、一等・二等資格の有無に関わらず個別に国土交通省への許可申請が必要 です。
また、ドローン機体側にも所定の機体認証(自動車の車検制度のようなもの)を取得した機種を使用する必要があります。国家資格はドローン操縦者の能力証明であり、安全な運用のための要件ですが、 飛行内容によっては別途機体や飛行計画に対する規制が併せて課される点にも注意が必要 です。
国家資格を持っていることで法律や安全管理の知識も習得でき、現場での飛行許可取得や関係機関への申請もスムーズになります。さらに、有資格の操縦者が在籍していることは依頼主からの信頼性向上にも直結し、企業間の差別化にもつながります。総じて、 国家資格はドローン点検業務において安全性と効率性、信頼性を高める意義の大きい資格 です。

民間のドローン資格
国家資格とは別に、 民間の団体が発行するドローン資格 も多数存在します。一般的にはドローンスクールの研修を受講し、所定の技能講習を修了することで認定証(修了証)を取得できます。代表的な民間資格の内容は、ドローンの基本操縦技術(離着陸・ホバリング・移動飛行など)や関連法規・安全運航管理について学ぶカリキュラムで構成されており、修了試験に合格すると「一定の操縦スキルを有する」ことを証明する証書が発行されます。
民間資格は法律に基づく国家資格ではなく、いわば第三者がお墨付きを与える技能認定です。そのため、この資格自体に法的な効力はありませんが、 操縦者の知識・技能を客観的に証明するもの として機能します。実際、2015年頃から各地にドローンスクールが誕生し、多くの操縦者が民間資格を取得してきました。かつては国土交通省への飛行申請時に、民間資格の証明書を提出すれば一部手続きを簡略化できる優遇措置が設けられていましたが、 2025年12月をもってこれらの優遇措置は廃止されています 。つまり現在では、民間資格を持っていても飛行ごとの許可申請は従来どおり必要となり、法的な意味で 国家資格の代替とはならないことに注意が必要 です。
一方、民間資格そのものが今後無意味になるわけではありません。現在でも民間スクールで資格を取得すれば体系的な操縦訓練を積めますし、何より民間資格を持っていると 国家資格取得時の講習時間が短縮される というメリットがあります。例えば、ドローンスクールで基礎から学んで民間資格(技能認定証など)を取得しておけば、国家資格(二等・一等)の講習では「経験者」として扱われるため、初心者の半分以下の時間で課程を修了できます。その結果、受講料など費用面でも有利になります。
さらに、民間資格の取得過程で身につけた知識や安全意識は、今後も操縦者にとって貴重な財産です。気象や電波法、航空法規、プライバシー配慮といった安全運航に欠かせない基礎知識は、資格を問わずドローン運用者全員に必要なものです。民間スクールでの学習を通じてそうした知識を身につけた操縦者は、資格の有無に関わらず安全意識が高く、結果的に事故のリスク低減にもつながります。
まとめると、2025年末以降、民間資格は行政上の特典こそ失われるものの、「技能習得の証明」「国家資格取得の土台」「安全意識の醸成」といった面で依然として意味を持ちます。趣味レベルでドローンを飛ばす場合は無理に国家資格を取る必要はないかもしれませんが、業務でドローンを活用する方にとっては、民間資格で基礎を固めつつ 最終的には国家資格を取得することが望ましい でしょう。
赤外線建物診断技能師(民間資格)
赤外線建物診断技能師は、建物の赤外線調査に関する専門知識と技術を認定する民間資格です。一般社団法人「街と暮らし環境再生機構(TERS)」が運営しており、2010年の制度創設以来、多くの技術者が取得しています。 受験に特別な資格や経験は不要 で、赤外線の基礎理論から建築構造、診断手法まで幅広い内容の筆記試験に合格すれば認定されます。
赤外線建物診断技能師の資格があることでクライアントへの説明資料や報告書に説得力を持たせることができます。入札参加要件を満たすために必要なケースもあり、特に公共施設や大規模物件の調査を請け負う企業にとっては重要な資格となっています。資格取得後は2年ごとの更新制度があり、継続的に知識をアップデートすることが求められます。

ドローン点検や資格取得のご相談はドローンフロンティアへ
以上のように、ドローン点検に関連する複数の資格がありますが、それぞれ取得することで得られるメリットは異なります。操縦系の資格(国家資格や民間の技能認定)を持てば、法律順守と安全管理のレベルが高まり、事故リスクの低減や円滑な許認可手続きに直結します。一方、赤外線診断など調査系の資格を持つことで、点検結果の信頼性や精度が向上し、維持管理業務の質を高めることができます。特に 建物管理者にとっては、有資格者が行うドローン点検は安心して結果を受け入れやすいというメリット があります。資格が無くてもドローン点検を行うこと自体は可能ですが、これらのメリットを得るためには各種資格を取得することが望ましいでしょう。
弊社ドローンフロンティアでも、ドローン操縦者は無人航空機操縦者技能証明を取得しており、赤外線建物診断技能師など専門資格を持つスタッフが調査・解析を担当しています。さらに、 ドローンによる赤外線調査だけでなく、高所作業員によるロープアクセスでの打診調査にも対応可能 です。調査対象となる物件に応じて最適な手法を組み合わせ、安全かつ的確な外壁調査を実施できます。
さらに、ドローンフロンティアでは豊富なドローン点検の実務経験を活かして 実務特化型のドローンスクール「UAS技能教習所」 を運営しております。ドローン点検や資格取得をお考えの際は、ぜひドローンフロンティアにご相談ください。
※赤外線外壁調査のサービス内容については、こちらのページをご覧ください。

足場不要のため低コスト・短期間で実施可能。
年間100棟以上の調査実績と総飛行時間1,000時間以上の経験を持つパイロットが、日本全国どこでも対応します。
※UAS技能教習所のサービス内容については、こちらのページをご覧ください。

