赤外線調査

外壁のタイル、施工不良で落下の危険も

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マンションやビル、住宅の外壁に貼られたタイルの落下事故が毎年、発生しています。建築基準法によって、外壁の定期検査が義務付けられていることから、ほとんどの建物で法律が遵守されており、メンテナンスは行われているはずですが、それでも落下事故が発生することがあります。外壁タイルは常に紫外線や寒暖差、雨や風、雪といった自然環境に面していることから、想定されている耐用期間中でも劣化スピードが早まることがあります。しかし、調査してみると施工不良が原因で耐用期間よりもはるかに早く劣化してしまった場合も少なくありません。

外壁タイルはメンテナンスフリー?

マンションや一戸建て住宅を高級感あふれる、美しい外観へと飾ってくれるのが外壁タイルです。外壁タイルはデザイン性が高く、色やサイズ、質感など、さまざまなバリエーションがラインナップされています。またタイルは石や粘土など天然資源を高温で焼き固められています。硬質であり、強度があって、傷や汚れがつきにくいという特徴があります。

外壁タイルの耐用年数は?

外壁タイル

外壁に利用されるタイルは熱や火に強く、また紫外線や風雨の影響による変色や劣化のリスクが少ないという特徴もあります。しかし、タイル自体に強度があっても、タイルを貼り付ける際の目地部分、シーリング材が傷んでくると、そこから浸水し、建物の腐食を発生させるケースがあります。

国土交通省所管の研究機関である国立研究開発法人建築研究所が発表している研究結果の中には目地に利用するシーリング材の耐用年数は一般に 5年から10 年程度、タイル貼り仕上げの耐用年数は 10年から15 年程度としています。しかし、近年の地球温暖化で劣化スピードが早まっているケースが見られます。報道などでは築後3年でタイルが落下したという事例もあります。タイル自体に強度があっても、目地や下地の劣化で想定外が起こりうるということです。

施工する業者・技術者の腕によるところも

外壁タイルの施工はサイディングなどの他の外壁施工よりも難しく、施工する業者・技術者の力量によるところが大きいといえます。そのため、確かな技術を持つ業者による施工で想定する耐用年数よりも長く維持できる可能性はあります。もちろんその逆もあります。

外壁タイルはその堅牢さや耐久性から一時はメンテナンスフリーといわれたこともありますが、メンテナンスフリーという外壁は存在していません。必ず経年劣化が起こります。そのため、安心・安全な暮らしのためには法律に基づいた点検だけでなく、予防保全という観点からの外壁タイルは定期的な点検が推奨されています。

外壁タイルの施工不良とは?

施工不良

私どもドローンフロンティアで調査依頼を受けた中には築浅のマンションなのに外壁タイルが剥がれ落ちてしまったという事例も見られます。その場合、疑われるのは外壁タイルの施工不良です。施工不良にはいくつかのタイプがあります。

下地コンクリートをしっかりと処理していなかった場合

外壁タイルは下地となるコンクリートの表面に「目荒らし」という処理を施します。この目荒らしがないと、コンクリートの表面が平滑となってしまい、外壁タイルの接着力の強度不足が発生するためです。目荒らしの量が少なかったり、目荒らしを行っていなかったりした場合には施工不良となって、外壁タイルが剥離、脱落しやすくなってしまいます。また、下地コンクリートをしっかりと洗浄せず、粉塵や薬品などが付着したまま、外壁タイルを貼り付けた場合も、接着力が大幅に低下してしまい、剥離・落下の危険性が高まることはいうまでもありません。

圧着モルタルの塗り付け不足の場合

外壁タイルを貼り付けるためには下地コンクリートに圧着モルタルを使います。この圧着モルタルの量が少ないと、タイルの裏側に隙間が発生し、浮きが出てしまうことがあります。また、逆に圧着モルタルの塗り付け量が十分であっても外壁タイルの叩き不足が原因となって、タイルの裏足が十分に圧着モルタルに食い込んでいかず、結果として浮きを生じてしまうことがあります。

下地モルタル施工後の養生期間不足の場合など

外壁タイルを貼り付ける際、下地コンクリートを打設したあと、適切な養生期間をおく必要があります。また、下地モルタルも同様に養生期間を指定どおりにしっかりととらなければなりません。養生期間を短縮したり、あるいは取らずに外壁タイルの貼り付けを行った場合、外壁タイルの施工不良となってしまい、それがタイルの剥離・脱落事故につながります。このほかにも施工不良が発生する要因はありますが、そのほとんどは適切な方法で工事が行われなかったことが起因となっています。

外壁タイルの施工不良は早急に調査の実施を

赤外線外壁調査

築浅の物件や施工直後で不具合があった場合、アフターサービスで分譲会社や施工会社に補償対応などを求めることができます。新築物件の場合、アフターサービス期間は引き渡しから2年程度となっているケースが多く、期間中であれば、修繕費用は売主や施工業者負担となるでしょう。

それ以降でも10年以内であれば、契約不適合責任を追求することによって、売主や施工業者に修繕費用を求められます。そこで施工不良と思われる異変を発見した場合、迅速に外壁調査を実施することが重要となってきます。

ドローンを使用した赤外線外壁調査でわかること

赤外線による外壁調査は対象物である外壁タイルの温度を見て、異常が発生しているかどうかを判断します。外壁タイルや下地のモルタルに浮きができている場合、隙間の空気が温められることによって、浮きがある外壁タイルは高い温度分布を示します。ドローンを利用すれば、人間がアクセスしにくかった高所でもしっかりとした調査が可能になります。

私どもドローンフロンティアが受託した調査でも、築年数が浅いマンションでタイルが落ちてしまっていたケースで、施工不良か経年劣化なのかを判断するために全体の浮き率を調査した事例があります。タイルの浮き率はタイル全体の面積に対して浮いている部分の割合を示すものです。築年数に対してどのくらいの浮き率が発生しているのかをみることで施工不良か経年劣化なのかが見えてきます。

施工不良かどうかの判定は総合的な調査で

しかし、赤外線調査だけでは浮き率以外、つまり施工不良か経年劣化なのかといったことで決定的な言及はできません。そのため、私どもドローンフロンティアではドローンを利用する赤外線調査に加えて、橋梁の検査などでも利用されているロープアクセスによる打診や目視確認、触診なども実施する総合的な調査の提案を行っています。

外壁タイルの施工不良、ご相談はドローンフロンティアへ

外壁タイルの施工不良が疑われる場合、いつどんなタイミングで外壁タイルが剥離・落下してくるかわかりません。そのため、住まう人、そして歩行者の安全を守るためには迅速な外壁調査と修繕が求められます。ドローンを利用する赤外線外壁調査は足場を作る必要がなく、迅速に行うことができます。また日本全国でドローンの飛行許可を取得しているため、都心部でもドローンによる赤外線検査を行うことが可能です。

新築物件や築浅物件の外壁タイルに異常がみられ、それが経年劣化なのか施工不良かどうかの調査が必要になった場合については赤外線検査だけでなく、ロープアクセスで行う打診検査や目視確認、触診といったような検査を組み合わせ、総合的な分析と判断が必要になってきます。ドローンフロンティアは建設業界やロープアクセス調査会社とも連携しており、総合的な調査を提案することができるほか、施工不良箇所の修繕についても対応することが可能です。

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