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外壁タイルの耐用年数は30年後ではない?知っておくべき耐用年数とメンテナンスの重要性

投稿日:2024年3月1日 更新日:

外壁タイルはモルタルと呼ばれる外壁材にタイルを直接貼り付け、タイル同士の隙間である目地をシーリング材で埋めるという方法で施工されます。

外壁タイルにはいくつか種類がありますが、いずれも耐用年数は30年以下です。

それにもかかわらず、何故外壁タイルの耐用年数は施行から30年後と言われるのでしょうか。

この記事では、外壁タイルの耐用年数についてや、もしメンテナンスしなかった場合の30年後はどうなるかなどを解説します。

外壁タイルのメンテナンス、約10年で必要に!

 

住宅産業協議会の「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」では10年から35年の間にタイル洗浄や目地打替えをメンテナンスとして実施することを推奨しています。このスケジュール表を見て、最長期間の35年を耐用年数としてしまっています。しかし、外壁の劣化スピードは推奨とされる35年よりもはるかに速く、10年前後でメンテナンスが必要となります。

外壁タイルの耐用年数、最長は30年以上だとしても

外壁に利用されるタイルは土や石、砂、ガラスなど自然から採れる物質を素材にして成型し、高温で焼き固めた無機質の建材です。素材自体がさまざまな環境においても劣化することがないモノですから、タイルに加工しても、非常に高い耐久性を持っています。そのため、ガイドが目安としている最長の30年以上となる長い耐用年数のものもあります。

外壁タイルの耐用年数が30年後と呼ばれるようになった理由はここにあります。

しかし、外壁タイルも劣化が全くないわけではありません。紫外線や風雨などにより、常に劣化しやすい状態にさらされています。実際の建造物によっても異なりますが、直射日光や風雨が当たりやすい南側や屋上などは劣化が早いです。

施工で利用する接着剤やシーリング材の劣化は長くて10年

タイル自体の耐用年数は長くても、モルタルとタイル間の接着剤やシーリング材などが劣化するため、施工後10年が経過する前にはメンテナンスが不可欠になってきます。

国立研究開発法人建築研究所の研究では目地に用いるシーリング材の耐用年数は一般に 5~10 年程度、外壁タイルの耐用年数は10年から15年程度とされています。外壁タイル自体には問題なくとも、目安としては7年から10年に1回程度を目安にシーリング材の打替えや仕上げ材の定期的な劣化診断を行うことで、外壁タイルの寿命を延ばすことが可能です。

外壁タイルは紫外線や風雨などにより、常に劣化しやすい状態にさらされています。実際の建造物によっても異なりますが、直射日光や風雨が当たりやすい南側や屋上などは劣化が早いです。

外壁タイルを30年間メンテナンスしなかった場合のリスクは?

平成28年には都市減災研究センターが27年間一度も外壁調査、メンテナンスを実施していない工学院大学新宿校舎の外壁タイルのシーリング材に対し、シーリング材自体の外観と伸びや応力などをまとめた物性の2項目で劣化度を評価した研究を行いました(参考:超高層ビルの構造・非構造部材における要素材料の長期耐用性に関する研究)。その結果をご紹介しましょう。

シーリング材が著しく劣化!鉄筋の腐食も

東西南北の高層・中層・低層の縦・横目地(低層の横目地は化粧目地のため縦目地のみ) に分け(図2a参照)、合計20本のサンプルを分析した結果、どのサンプルも物性は異常が少ないにも関わらず、13本の外観は著しく劣化していたそうです。

シーリング材は一度漏水が発生してしまうと、モルタル下の鉄筋などを腐食させてしまう原因になります。漏水していた場合は各部屋のエアコンや石膏ボードの修理費用が発生する可能性が高いといえます。

外壁タイルのメンテナンスは10年ごとに!

現在は建築基準法12条による法定点検の義務があるため、対象となる建物で30年間外壁タイルのメンテナンスをしない事例はまずありません。しかし、対象となっていない建物であっても外壁にタイルを施工している場合、耐用年数最長期間の30年まで何もしないのではなく、シーリング材の耐用年数である10年となる前にメンテナンスの実施を推奨いたします。外壁タイルの定期的なメンテナンスを先送りにすれば、それだけ、補修費用が拡大する恐れがあります。定期的なメンテナンスの実施が結果的に建物を維持するためのコストダウンにつながります。

外壁タイルの耐用年数に関する法令・規制が12条

外壁タイルメンテナンス

外壁タイルの耐用年数に関する法令としてあるのが、建築基準法第12条です。

この法令では、対象となる建築物に対する1年から3年ごとの特定建築物定期調査と、竣工または外壁改修から10年を経過した建物に対する10年毎の全面打診調査が義務づけられており、違反した場合は100万円以下の罰金が科せられます。

外壁調査の対象には外壁タイルも含まれており、建造物によって適した方法で外壁調査を実施しなければいけません。

外壁調査方法①打診調査

もっともオーソドックスな外壁調査方法である打診調査は、仮設の足場やゴンドラなどを使用して作業者が壁に向き合い「打診棒」という特殊なハンマーで壁を叩く調査です。

打診棒で叩いた時の音は外壁からタイルは浮いている状態と浮いていない状態で異なります。そのため、作業員は叩いた際の音の違いを聞き分けることで外壁タイルの浮きを把握可能です。

打診調査は外壁を叩いた時の音だけではなく、目視確認でもひび割れや剥離などの必要な修繕箇所を正確に特定します。打診調査は赤外線調査では見逃されやすい、細かな不具合も発見できる高精度な調査方法です。

ただし、打診調査は直接壁に向き合う必要があるため、足場を設置しなければいけません。

仮設足場やゴンドラは設置費用が高額になりがちで、建造物の周辺環境によっては設置できない可能性もあります。コスト面のほか、環境要因でも打診調査を実施するのが難しい場合はロープを使った打診調査や赤外線調査を実施することが多いです。

外壁調査方法②赤外線調査

打診調査は作業者が直接壁に向き合って打診棒で壁を叩く方法でしたが、赤外線調査はその多くがドローンにより実施されます。

ドローンに搭載された赤外線カメラによる赤外線調査は、壁に対して水平に飛行するドローンがサーモグラフィーを利用して外壁やタイルの表面温度を撮影し、後日ベテランスタッフが画像解析により異常を特定する方法です。

サーモグラフィーでは低温箇所は青色、高温箇所が赤色で表示されるため、例えば外壁とタイルの間に発生した浮きがある場合は一部だけが赤く撮影されます。

赤外線調査は打診検査に比べてコストを低く抑えられますが、浮きやひび割れを直接見て確認する打診法より精度が落ちる場合もあります。加えて、赤外線調査は天候に左右されやすい調査方法であるため、天気次第で想定通りのスケジュールで実施できない可能性も高いです。

どちらの調査方法もメリットデメリットがあるため、事前調査の時点でどの調査方法が適しているか判断します。場合によって打診法と赤外線調査を併用することも珍しくありません。

外壁タイルの耐用年数は30年後ではないため、こまめにメンテナンスを

 

外壁タイルの耐用年数とメンテナンスについて解説しました。外壁タイルは施工から30年後に外壁調査・点検とメンテナンスを実施すればよいと思っていた方もいるかもしれません。しかし、実際は外壁タイルを固定する接着剤やシーリング剤などの耐用年数は10年弱。少なくとも12条点検で定められている10年を目処に定期的な外壁調査・点検とメンテナンスをする必要があります。

ドローンによる建物の点検、ご相談はドローンフロンティアへ

マンションなどの建物を美しく彩る外壁タイルは定期的なメンテナンスが必要です。外壁タイルの定期的なメンテナンス実施は美しい景観だけでなく、安全性も維持することになります。そのため、タイル自体の耐用年数で考えるのではなく、外壁全体を構成している各要素の耐用年数を意識し、法令に従い適切な期間で外壁調査・点検とメンテナンスを行うことが重要です。

外壁タイルの点検・調査は従来の打診で行う場合には足場を組む必要があり、大掛かりなものになってしまっていました。

そうした中、ドローンによる調査技術が大幅に向上しており、その精度は法的にも全面打診調査と同等以上と明文化されています。

建物の一般的な点検、あるいは12条に基づく定期点検、また、大規模修繕に向けての外壁タイル事前調査はドローンによる実施でコスト、期間を抑えることが可能です。総飛行時間1,000時間以上のパイロットが所属しているだけでなく、全国でドローンの飛行許可を取得している私どもドローンフロンティアにご相談ください。

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