外壁タイルは様々な方法で施工され外観の美しさや防音防寒を担う機能を果たしてくれます。
では、外壁タイルにメンテナンスが必要か考えたことはあるでしょうか。
外壁タイルのメンテナンスを怠ると、タイルの浮きが目立ったり、タイルが落下したりする恐れがあります。
本記事では、外壁タイルへのメンテナンスの必要性やタイルの浮きが発生する原因について解説します。
外壁タイルはメンテナンスが必要か?
外壁に貼られているタイル自体の寿命は30年ほどと言われており、基本的にはメンテナンスが必要ありません。
しかしタイルを外壁に貼る接着剤の寿命は10年弱と、タイルより短命です。
外壁タイルは接着剤自体の寿命のほか、さまざまな要因により外壁からタイルに浮きが発生しやすくなります。
タイルが外壁から浮いてしまうと、以下のようなトラブルが発生する可能性が高いため、これらを未然に防ぐためにも、外壁タイルには定期的なメンテナンスを実施すべきです。
外壁タイルの浮きによるトラブル①安全性が確保できなくなる
外壁タイルが浮いてしまったり割れてしまったりすると、周囲の歩行者に落下してケガをさせてしまう可能性があります。
特に高層建築物の場合、落下した時のリスクはさらに大きくなるため注意が必要です。
実際過去にはさまざまなタイル落下による事故の報告が行われており、平成元年に北九州市で発生したタイル落下の事故では、一名が重傷を負い二名が亡くなりました。
外壁タイルは常にダメージを受け続けている状態のため、経年劣化よりも早くタイルが浮いてしまうこともあります。
外壁タイルは定期的なメンテナンスを行い、タイルの落下リスクを最小限に抑えなければいけません。
外壁タイルの浮きによるトラブル②余計なコストが発生
外壁タイルは建物の外観を美しく見せるだけではなく、建物を紫外線や温度変化から保護する役割も担っています。
例えば外壁からタイルが浮いて外壁とタイルの間に隙間が発生した場合、適切に温度調整ができなくなり、通常よりも余計にエアコンなどを使用しなければいけなくなり電気代がかさみます。
ほかにもタイルの浮きにより防水機能が低下して雨漏りなどを引き起こす原因となったり構造的な損傷、カビの発生リスクなどのトラブルが発生したりするため、外壁タイルのメンテナンスを行っていれば発生しなかったコストを払う必要が出てきます。
外壁タイルの浮きが発生する原因は?
外壁からタイルが浮く原因はさまざまなものがありますが、主な原因としては下地に使われるモルタルやシーリング材の劣化が多いです。
タイル浮きの原因:モルタルや目地の劣化
従来、日本の建築で多く使われてきたのはモルタルを使用する施工方法です。この方法はモルタルを下地としてタイルを接着し、タイル同士の隙間をシーリング材で補強します。
タイル自体は石や砂、セメントなどで作られている為、非常に頑丈かつ耐久年数も高いです。
しかしシーリング材は熱や紫外線に弱く、環境によっては5年から10年弱が寿命であり、シーリング材に亀裂や裂け、ヒビが目立つようになります。
シーリング材は外壁への雨水浸入を防いだり、地震発生時の衝撃を抑えたりするための補強材として使用されています。
そのため、シーリング材自体が劣化してしまうと、モルタルとタイルの間に雨水や空気が侵入しタイルが浮きやすい状態になってしまいます。
このほかにも外壁タイルが浮く原因として、紫外線や暴風、地震、寒暖差などが考えられます。
いずれの原因を想定する場合でも、外壁からタイルが浮かないためのメンテナンスとして、シーリング材自体は環境に応じて約3年から8年の頻度で打ち替えるのがおすすめです。
外壁タイルのメンテナンスとは
外壁タイルをより長持ちさせるためには定期的なメンテナンスを実施しましょう。
メンテナンスとしては専門業者による定期的な外壁調査やタイル自体の清掃、シーリング材やモルタルなどの修繕などがあります。
修繕はDIYでもできなくはありませんが、見た目では軽度な状況でも原因は別問題という可能性も否定できません。
より確実に外壁タイルを長持ちさせたいのであれば、専門業者に依頼するのが確実です。
メンテナンス費用は規模や内容によりますが、小規模で済む場合は10万円以下で済む傾向にあります。
外壁タイルのメンテナンス例①:シーリング材の打ち替え
シーリング材にヒビが入ったり、傷や裂け目が入ったりしてもすぐにトラブルが発生する訳ではありませんが、発見した場合はなるべく早急に修繕しましょう。
古いシーリング材を除去して新しいシーリング材に打ち替えれば、本来の浸水防止などの役割が復活します。
タイルやモルタルが浮いてしまっている場合も、同様に新しく張り替えをすればトラブルが発生する前に問題を防ぐことができます。
もしタイルの浮きが目立つ場合は、なるべく早く専門業者に相談することをおすすめします。
外壁タイルのメンテナンス例②:専門業者による外壁調査
マンションや学校、病院、介護施設、ホテルなど、一定の条件を満たす物件は10年に1回は必ず外壁調査を実施しなければいけません。もちろん10年に1回だけではなく、任意で実施することも可能です。
外壁調査では目視で判断できるタイルの浮きやモルタルの劣化だけでなく、さまざまな調査方法により目視では判断できないタイルの浮きなどを調査します。
調査方法はいくつかありますが、全ての物件に同じ方法が適用される訳ではありません。建物ごとに建設方法や周辺環境が異なるため、対象となる建造物ひとつひとつに合わせた方法で調査が行われます。
タイルの浮きを未然に防ぐには定期的なメンテナンスを
タイルが浮いてしまうというとタイル自体に問題があると考えるかもしれませんが、実際はそうではなくタイルを補強するためのシーリング材やモルタルなど他の要因によりタイルが浮くことが多いです。
タイルが浮かないようにするには定期的にメンテナンスを行い、シーリング材やモルタルの劣化により外壁とタイルの間に水分や空気、熱がこもらない状態を維持しなければいけません。
見ただけで異常が分かることもあれば、一目見ただけでは問題が無いように思える場合もあります。外観に問題ないからと安心するのではなく、定期的に専門家によるメンテナンスを実施し、タイルの浮きがない安全な外壁を維持しましょう。